歯科治療の新たな選択肢として注目を集めるレーザー治療。痛みや不快感が少なく、治療後の回復も早いこの治療法は、ドリルの音や振動が苦手な方、歯科治療に恐怖心がある方にも安心して治療を受けられる選択肢となっています。そこでレーザー治療のメリット・デメリットやどんな人におすすめかを、江並歯科の江並先生に詳しく解説してもらいました。

監修歯科医師:
江並 大和(江並歯科)
日本歯科大学新潟生命歯学部卒業。日本歯科大学新潟病院研修終了。芦屋市および神戸市の歯科医院での勤務を経たのち、父の代から30年以上続く歯科医院を引き継ぎ、江並歯科を開院。患者とのコミュニケーションを重視し、「かかりつけの歯医者さん」として地域に根ざす。治療だけでなく、日常のケアや口腔健康の相談にも応じる。スタッフ一丸となって、通いやすく安心できる歯科医院を目指している。
編集部
レーザー治療にはどのようなメリットがありますか?
江並先生
1番のメリットは痛みが少なく、不快な振動や音もない点です。さらに、むし歯治療では悪い部分をピンポイントで除去できるため、健康な歯質を多く残すことができます。さらに、治療の回復が早いのもレーザー治療のメリットの1つです。
編集部
そのほかに、メリットはありますか?
江並先生
歯ぐきの治療(歯周病治療)においても、大きなメリットがあります。例えば、従来の治療では歯ぐきの中を掃除するために歯ぐきを大きく開く必要がありましたが、レーザー治療であればそこまで大きく開かなくても治療が可能です。これにより、術野が小さくできるため、患者さんの負担が軽減されます。
編集部
レーザー治療にデメリットやリスクはないのでしょうか?
江並先生
レーザー治療にもいくつかのデメリットがあります。1つは、保険が適用できるケースが限定的で、それ以外の治療では自費診療となり、費用が高くなることです。また、レーザー器具の形状に制限があるため、従来の歯科用タービン(ドリル)に比べると、治療できる範囲に限りがあります。
編集部
具体的に、どのような制限がありますか?
江並先生
基本的に、レーザーが届きにくい部分は治療が難しくなりますし、通常の歯科用タービンに比べて治療時間も長くなる傾向があります。具体的にいうと、大きなむし歯や被せ物の治療、歯の形を整える作業などは、レーザー治療では対応が難しいケースがあります。そのため、症例によっては、従来の治療を併用したり、使い分けたりすることが必要です。
編集部
以上をふまえると、レーザー治療はどんな患者さんにおすすめですか?
江並先生
レーザー治療は、歯科治療に対する不安や恐怖心の強い方にとくにおすすめです。「歯を削る」「歯ぐきを切る」といった治療が苦手な患者さんにとっては、安心しやすい治療として受けていただける選択肢となります。
編集部
ほかには、どのような方に適していますか?
江並先生
状態が悪い歯でも、できるだけ残したいと強く希望される患者さんにも有効なケースがあります。通常であれば抜歯が必要な歯でも、レーザー治療で殺菌や消毒を行うことで、痛みや腫れを防ぎながらギリギリまで残すことが可能です。したがって、抜歯を避けたい方やどうしても歯を残したいと考える方には、治療の幅が広がると思います。
※この記事はMedical DOCにて<歯科の「レーザー治療」ってどんなことができるの? メリット・デメリットは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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