布施のまちに、居酒屋は星の数ほどある。酔いたい夜も、話したい夜も、黙って飲みたい夜も。
でも——「おかんとひとしな」は、そんな気分の前にある場所かもしれない。
ここはただ酔うためじゃなく、帰りたいと思わせてくれるところ。あのカウンターに座れば、季節の小鉢と、どて焼きと、なにより「おかん」が、きっと待っていてくれる。

ただいま、の気配がするカウンター
「居酒屋」という言葉では、少し足りない。正確に言えば、「おかんの家庭料理のお店」。でも、もっと言えば——あたたかい手の記憶のような場所。

店内は、カウンターだけ。7、8人も入ればいっぱいになる。その狭さが、逆にちょうどいい。となりの誰かと、自然と会話が生まれるから。
「おつかれさま」「それ美味しそうですね」そのやりとりが、この場所の空気をゆるめていく。
最初の三品で今日の調子がわかる

まずは、三種盛りの小鉢から。
この日はブロッコリーのかにかまあんかけ、わかめと筍の煮物、豆とベーコンのマヨネーズ炒め。そんな季節ごとの小鉢たちが、器にちょこんと並ぶ。
「今日はこんな感じでね」そう言って出される皿には、その日のおかんの気分と、季節の風が詰まってる。

どて焼きは、定番。
牛すじが、箸ですっとほどけるやわらかさ。甘辛い味噌が染みて、体の奥がゆるむような味。

〆に食べたいのは、肉味噌おにぎり。
この肉味噌、実は「瓶で持ち帰りたい」っていう常連もいるくらい人気者。濃厚だけど重すぎず、ちょうどいい塩梅。
