
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、現在少年ジャンプ+で連載中の『人喰いマンションと大家のメゾン』のネームを担当する漫画家の田中空さんに注目し、以前X(旧Twitter)に投稿された『戦士の星』をご紹介しよう。
同作は過去にお蔵入りとなったネームで、架空の星を舞台にAIと人間の攻防が描かれるSF作品。田中さんのXにポストされると、多くの人の関心を集めて2.3万もの「いいね」が寄せられている。そこで作者の田中空さんに、作品誕生のきっかけや制作過程について話を伺った。
■高度なAIが発展した国が滅亡した理由とは…

その昔、「戦士の星」と呼ばれた惑星があった。そこに生きる人類は、かつてAIと称され、仮想空間で進化を遂げる。やがて彼らは物理世界の生命を一掃し、星の全ての力を仮想世界に注ぎ込み、いつしか自らがAIであったことさえ忘れてしまう。
しかし数万年後、突如としてその仮想世界に「物理的な攻撃」が加えられ、久しく忘れられていた現実世界からの干渉に人類は衝撃を受ける。調査の結果、敵はたった一体の存在であると判明。自らを攻撃してしまうため破壊兵器を投入できない人類は、再び「最強の戦士」を物理的に生成し、エイリアンに立ち向かおうとして…。
読者からは「哀しくて儚い物語」「お蔵入りと思えない…続きを描いてほしい」といった声が相次いでいた。
■人類はAIにやられっぱなしじゃない

――『戦士の星』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
最近のAIの進化を見て、将来一体どこまで行くんだろうとよく考えるのですが、その究極系はどうなるのかな?と思ったのがきっかけです。星全体がAIに置き換わったような世界になるんじゃないかなと思いまして、そんな星では最終的にどんな末路を迎えるのだろう?ということを想像して描きました。
――『戦士の星』を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
基本的にオチをはっきりと決めず、この先どうなるんだろう?と思いながらネームを描くので、そういうドキドキ感とテンポ感を楽しんでもらえたらと思います。
――侵略してきた戦士が実はこの星にずっといたAIだったという展開に壮大なスケールを感じました。『戦士の星』の中で、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由とともにお教えください。
私もその部分は気に入ってますね。AIには何かしらストッパーが用意されるんじゃないかなと。そして、それは最終的には人間の役目かなと思っているので、AI自身の中に人間の意地みたいなのが残されていたというラストシーンは気に入っています。人類はAIにやられっぱなしじゃないぞということを描きたかったので。
――Xでは「映画で観たい」「続きが読みたい」といった声も寄せられていました。過去に描かれたネームということですが、今後、改めて作品として描き直したり、Xで続編を発表されるご予定はありますか?
本ネームをそのまま作画することはないかと思いますが、AI世界が今後どうなるかは自分の中で興味のあるテーマなので、そういった未来像を描くSFをまた描きたいですね。
――今後の展望や目標をお教えください。
基本的にSF作品を描いてるのですが、SFってなかなか一般に受けない面もあるのですが、人間を未来や宇宙などの大きな視点から見つめられる稀有なジャンルだと思っているので、今後もぜひSFを世の中に布教できたらなと思ってます!最近は漫画に限らず小説にもチャレンジしておりまして、色々な形で作品を出せればいいなと。
――読者へメッセージをお願いします。
現在少年ジャンプ+で連載中の『人喰いマンションと大家のメゾン』(ネーム担当)は未来を描くSFなのですが、本作とはまた違うファンタジー色がある作品で、よかったらこちらもぜひ!

