難聴はさまざまなことが要因となり発症します。たとえば、外傷やウイルス感染なども要因の1つになるでしょう。
またなかには未だ原因が明らかになっていないもので、次第に両耳の聴力が低下してしまう病気があります。それが、若年発症型両側性感音難聴です。
若年発症型両側性感音難聴は、原因だけでなく治療法も未だ解明されておらず、日本では難病指定されている病気の1つです。
今回は、その難病指定されている若年発症型両側性感音難聴の治療法そして治るのかについても詳しく解説をしていきます。
※この記事はメディカルドックにて『ドラマで話題となった「若年発症型両側性感音難聴」の症状・診断基準はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
若年発症型両側性感音難聴の診断と治療

若年発症型両側性感音難聴の診断基準を教えてください。
若年発症型両側性感音難聴の診断基準は、以下のようなものになります。発症が40歳未満という若年であること。
両耳に難聴の症状が出ている。
遺伝子検査の結果、原因といわれる遺伝子の変異が見つかること。
耳の中に外傷などの異常がないこと。
若年発症型両側性感音難聴の診断を受けるには、聴力が徐々に低下していくことを確認しなければなりません。そのため聴力検査を定期的に行いながら、進行の状況を確認していき、診断をしていくという形になります。
また、難聴はさまざまなことが要因となり起こります。そのためまずは、耳の中に異常がないか、ウイルスによる感染はないかなどさまざまな外的要因を除外するための検査を行う必要も場合によってはあるでしょう。
治療方法を教えてください。
若年発症型両側性感音難聴には確実にその病気を治す有効な治療方法は見つかっていません。そのため現在は、低下している聴力を補うための治療や聴力低下による影響を少なくするための治療が主に行われています。また、症状の進行状況や必要に応じて副腎皮質ステロイド・血管拡張薬・ビタミン製剤などの薬物が使われることもあります。しかし薬物投与に関しては、若年発症型両側性感音難聴の症状への効果が明確にでるのかどうかは分かっていません。
症状の進行速度を教えてください。
若年発症型両側性感音難聴の進行速度には個人差があるといわれています。また発症する時期や難聴の程度も人それぞれです。なかには急速に難聴が進行してしまうような方もいるでしょう。また、難聴が進むと日常生活に支障をきたす場合もあります。
難聴や耳の違和感は、時にめまいや耳鳴りを発症させます。そしてそれらが遠因でうつなどになり精神を病んでしまう可能性もあるでしょう。そのため症状の進行速度によっては早期治療を必要とする場合もあります。
編集部まとめ

難聴はさまざまなことが要因となり起こる体の不調です。たとえばストレスなどの環境要因も難聴の原因となることもあります。つまり原因は人それぞれということです。
そしてなかには、難聴の原因が若年発症型両側性感音難聴と診断される方もいるでしょう。
若年発症型両側性感音難聴は未だ分かっていない部分が多い難病ですが、早期発見することで適切な治療を受けることも可能です。
また今後医学の発展により、明らかになる部分も増えていくでしょう。
難聴や耳の違和感は少なからず日常生活に支障をきたします。時にはめまいや耳鳴りなどにより精神的につらくなりうつを発症してしまうこともあります。
そのため日常生活が今までのように送れるようにするためにも、自分の体は自分で管理し、異常を感じた場合はなるべく早めに病院に行くなどの対処をすることが大切でしょう。
参考文献
若年発症型両側性感音難聴(難病情報センター)

