2025年10月21日（火）に召集される臨時国会冒頭で首相指名選挙が行われ、石破茂首相が退任する見通しです。政権が掲げた政策に対する評価は、任期中どのように変化したのか。大手メディアと国民それぞれについて、AIによる分析を踏まえつつ賛否それぞれの意見を総まとめします。
経済は「否定意見」が優勢… 大手メディアの厳しい論調
まず石破政権が掲げた経済政策について、主要なメディアや有識者による評価は、賛否が混在しつつも特に具体的な成果や実行面においては批判的な論調が優勢となりました。
石破政権の経済政策は、岸田前政権が推進した「新しい資本主義」をおおむね継承しつつ、供給サイドの重視と財政健全化を強く意識した点が特徴と見なされていました。しかし、その政策の実行と現実との間にギャップが生じたことに対し、厳しい意見が多く寄せられています。
肯定的な評価点としては、主に経済安全保障への取り組みを強化した姿勢や、株価の上昇を維持したこと、そして春闘における高い賃上げ率など、賃上げの持続に向けた期待感、地方創生策として交付金の倍増を目指すなど、地方重視の姿勢が挙げられます。
一方で、否定的な意見や懸念は多岐にわたり、特に企業調査では「物価高対策が不十分」な点が最大の不満として指摘されました。その他の主な批判点は、財政健全化に向けた取り組みが党内の反発などにより十分に進まなかったこと、デフレ脱却後の成長を見据えた成長戦略（供給力強化や労働移動円滑化など）が、まだ緒に就いたばかりで成果不十分であること、そして政策実現における「改革志向と現実政治のギャップ」や、首相の「リーダーシップや問題解決能力の欠如」に対する疑問が集中しました。
メディアの論調としては、総じて上記のような未解決の課題や実行面への懸念から、批判的な論調が目立ったと言えます。
評価と批判、国民世論は二極化かつ分断の様相
では、石破首相に対する国民の評価はどうか。X（旧ツイッター）上での反応は、ここ直近（10月17～20日）の投稿を分析する限り賛否が大きく二極化している実態が浮き彫りになりました。
肯定的な意見は、サンプルの約3割（52件中16件）を占め、石破氏の経済政策や外交姿勢を評価する声が中心です。「インフレ抑制や社会保障拡充に尽力した」「トランプ関税交渉の成功は見事だった」などがその最たる例です。戦後80年所感については自民党以外の支持者からも「リベラルでまとも」との称賛があり、「党内ジェラシーで潰された」と退任を惜しむ声も散見されます。
あるユーザーは「多くの国民が感謝している。このように信頼された首相は久しぶり」と投稿。新党結成や続投を望む意見も見られました。こうした肯定的な声は、中道やリベラル寄りのユーザー層、およびメディアの惜別記事に影響された層が主に担っています。
一方、否定的な意見は約46％（24件）と優勢。衆参の国政選挙での惨敗を根拠に、「辞任は当然」「民意はNO石破」との声が目立ちました。特に保守層は、石破氏の政策を“親中外交”や移民推進とするほか、党内融和の失敗を批判する投稿が集中しており、「選挙で負けたのに居座った」「自分に甘く人に厳しい」と、過去の言動を皮肉る声も多く見られます。
党の新総裁となった高市早苗氏への期待を込め、「やっと正常に戻る」との投稿も散見されました。これらは同党支持者や高市氏支持層が中心となっています。
残り約24％（12件）は中立的で、退任の背景を分析したり、党内紛争を皮肉る投稿が目立ちます。ほか、直近の石破氏のSNS投稿が「面白い」と引用した軽いトーンのものや、選挙結果を「民意」と捉える冷静な意見など、多岐にわたっています。
退任を控えた10月中は、メディアの影響もあり肯定的な声が増加傾向にあったものの、保守層の強い反発が否定的な意見を押し上げており、石破氏の退任をめぐっては政策評価と選挙責任論が激しく交錯。結果として、国民の意見の分断が浮き彫りになっている格好です。21日の首相指名選挙では高市氏が選出される見通しですが、政権だけでなく党内の関係修復にも手腕を発揮することが求められます。
（LASISA編集部）
