失う歯の本数が増えるにつれ、「インプラント」と「入れ歯」のどちらの治療法が自分にとって最適か、迷う人も多いのではないでしょうか。とくに、シニア世代は見た目や使用感はもちろんのこと、長期的な予後や将来の健康状態をふまえた選択が重要となります。今回は、インプラントと入れ歯の予後やそれぞれの寿命やケア、メンテナンスについてについて、「浜松歯科」の中野先生に解説していただきました。

監修歯科医師:
中野 陽平(浜松歯科)
鹿児島大学卒業。鹿児島大学医学部・歯学部附属病院歯科診療部門、鹿児島市立病院歯科・歯科口腔外科などで経験を積む。現在は「浜松歯科」の理事長として、インプラント、矯正、根管治療など各分野の専門性を発揮し、複数の歯科医師と連携を図りながら幅広い治療を提供している。
編集部
インプラントと入れ歯、それぞれの寿命や交換時期について教えてください。
中野先生
インプラントは、適切なケアとメンテナンスをおこなえば20~30年、場合によってはそれ以上使い続けることができます。その一方で、入れ歯の場合は長く使っているうちに、歯ぐきの形が徐々に変化していきます。それに伴って「痛い」「合わない」という不具合が生じてくるため、その都度調整や作り直しが必要です。もちろん、インプラントも定期的なケアは必要ですが、このような不具合は比較的少なく済みます。
編集部
インプラントと入れ歯は治療後、どのくらいの頻度で歯科医院でのメンテナンスが必要になるのでしょうか?
中野先生
どちらの場合も、長期的な維持のためには定期的な通院が欠かせません。一般的な目安はいずれも3カ月に1回程度ですが、この頻度は個々の状況によって異なります。入れ歯の場合、問題がない時期はメンテナンスの頻度を抑えられますが、不具合が生じてくると頻繁な通院が必要です。また、インプラントに関しても、喫煙習慣のある人や歯周病の既往がある人の場合は1カ月に1回など、より短い間隔でのメンテナンスが推奨されます。
編集部
日々のお手入れ(セルフケア)に関してはいかがでしょうか? 両者に大きな違いはありますか?
中野先生
インプラントは自分の歯と同じように、歯ブラシや歯間ブラシでケアができます。特別な道具は必要ありませんが、インプラント周囲の歯ぐきの健康を保つために、丁寧なブラッシングが欠かせません。入れ歯は毎日お口から取り出し、専用のブラシと洗浄剤でお手入れをする必要があります。食後はブラシで汚れを落とし、就寝中は洗浄剤に浸して消毒することが大切です。どちらも毎日ケアを続けることが必要なので、大変さは両者で大きな違いはないと思います。
※この記事はMedical DOCにて<入れ歯orインプラントどっちがいいの? それぞれの特徴やメリット・デメリットを歯科医が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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