竹内に負けず劣らず、夏帆の“アッパレ”超絶演技
2025年秋ドラマとして放送中の「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBSテレビ系)が大きな反響を集めています。主演を務める竹内涼真さんの演技が話題となり、初回放送がTVerとTBS FREEの総再生数で365万回を突破。TBSの火曜ドラマで歴代1位となり、あの人気日曜ドラマ「VIVANT」(2023年、TBS系)に並ぶ過去最高ペースの再生回数を記録しています。
初回だけでなく10月14日に放送された第2話も好評で、平均視聴率は世帯7.0%、個人3.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。第1話を上回る結果となり、反響の大きさを物語っています。この第2話では、夏帆さん演じるもう一人の主人公・山岸鮎美が主に取り上げられドラマは新たな展開に突入。夏帆さんが鮎美を見事に演じて、さらに同作を面白くしました。
同作は谷口菜津子さんの同名漫画が原作で、竹内さん演じる亭主関白思考の海老原勝男と、恋人ファーストで生きてきた鮎美が主人公。プロポーズ直後に別れた二人が、料理を主軸としながら当たり前だと思っていたことを見つめ直し成長する、“再生ロマンスコメディー”となっています。
第1話では、デリカシーがなく昭和的な言動の多い勝男を、竹内さんが完璧に演じて視聴者を沸かせましたが、そんな竹内さんに負けず劣らず、第2話で夏帆さんが見せた演技が、とんでもなくクオリティーの高いものだったので解説します。
第2話は、鮎美がなぜ恋人ファーストな女性になったのかを丁寧に描きドラマに深みを与えました。鮎美は、これまでの人生でハイスペックな男性と結婚し、安定した人生を送るためモテに“全ベット”してきた女性です。勝男とはタイプが違うものの、古い価値観に縛られていたことが第2話で判明。イケメンで仕事もできる勝男との生活を維持するため、自分を殺して暮らしていたことが描かれます。
そんな鮎美は同棲を解消したことで自由を手に入れ、新しい出会いもあり人生を謳歌(おうか)することに。第1話で見せた表情とはガラリと変わり、心の底から楽しんでいる様子を繊細に演じました。ちなみに、勝男と生活していたときの回想シーンでは、笑顔ながら「目の奥が笑っていない」操り人形のような鮎美を夏帆さんが表現。表情の作り込みだけでなく、目を使った感情の演技もうまく、鮎美というキャラの特性を視聴者にストレスなく提示しています。
また、圧巻だったのは第2話のラストシーンでした。鮎美は、カギを返すために二人は同棲していた家を訪れるのですが、そこには勝男の後輩たちが……。一緒に食事する流れになり、勝男が楽しそうに料理して、後輩たちとたわむれるところを見て孤独感に包まれます。このシーンでも、表情のコントロールがうまく心に闇を抱える鮎美を丁寧に表現。ラストには、好意を寄せてくれるミナトくん(青木柚さん)からのストレートな言葉に、感情を爆発させる鮎美を引き込まれる演技で見せてくれました。
「じゃあ、あんたが作ってみろよ」では、第1話で竹内さんの演技が注目されましたが、夏帆さんの演技も秀逸だということをあらためて強調しておきます。鮎美は、モテに全ベットしてきただけあり同性からは好かれない、いわゆるぶりっ子。そんなキャラにも関わらず、夏帆さんが悲哀も丁寧に見せていることでいやらしくならず、視聴者はストレスなく作品を楽しめます。
竹内さんが熱演でモラハラ野郎の勝男をチャーミングに演じているのと同じく、夏帆さんが鮎美をうまく実写化していることで、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」はさらに面白さを増しています。
夏帆さんの演技は竹内さんとは違う種類の繊細なもので、能天気でポジティブな勝男をより引き立たせる鮎美を作り上げています。化学反応によって竹内さんの演技をさらによく見せており、今後も印象的なシーンが次々と生まれることでしょう。
竹内さんとともに話題のドラマで完璧以上の演技を見せている夏帆さん。今後、どんな鮎美の姿を披露してくれるのか、大きな注目ポイントになりそうです。
(ゆるま小林)

