「悪性黒色種(メラノーマ)」の初期症状はご存知ですか?【医師監修】

「悪性黒色種(メラノーマ)」の初期症状はご存知ですか?【医師監修】

悪性黒色種(メラノーマ)は、肌にあるメラノサイトという細胞が癌化して肌に発生する悪性腫瘍(癌)です。

発症率としてはあまり高くないので希少がんに分類されていますが、自覚症状が少ないので発見が遅れることもあり、早期に臓器などほかの部位への転移が認められます。

また見た目がほくろとよく似ているため自分では見分けが付かないことが多いので、専門医がしっかりと検査・診断して悪性黒色種(メラノーマ)を見付けることが必要です。

今回は悪性黒色種(メラノーマ)の症状や原因について説明します

松澤 宗範

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

※この記事はメディカルドックにて『「悪性黒色種(メラノーマ)」の初期症状・原因はご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

悪性黒色腫(メラノーマ)の特徴

爪の内出血

悪性黒色腫(メラノーマ)はどのような病気でしょうか?

肌の組織であるメラノサイトが癌化することで発生する悪性腫瘍です。メラノサイトとは肌の表面表皮と真皮の間にあり、メラニンを生成する組織です。

メラニンは紫外線などの刺激を受けることによって生成されるもので、しみやそばかすの元として知られています。

メラノサイトが癌化すると、このメラニンとよく似た色の黒い腫瘍が肌に現れてきます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の発症率や発祥する部位は人種によって偏りがあり、具体的には人種別だと米国におけるメラノーマの年間罹病率は,白人が24.3人/10万人,アジア人が1.7人/10万人,黒人が1.2人/10万人と報告されています。

よって希少癌の1つに数えられています。

皮膚の癌なのですね。

日本人の悪性黒色腫(メラノーマ)は手のひらや足の裏、爪などに多く発症します。

ほくろやしみのような黒・茶色の点が肌に現れるのですが、見た目がほくろとよく似ているので素人目ではほくろとなかなか見分けがつきません。

また専門医以外が診察・検査を行った場合も、やはりほくろやあざなどと見間違ってしまうケースがあります。

悪性度が高いため、早期発見と適切な検査が必要とされる癌です。

皮膚の癌にはほかにも基底細胞癌・有棘細胞癌・パジェット病などがありますが、この病気は発見が比較的難しく、悪性度が高くて治りにくいといわれています。

どのような症状・初期症状が現れますか?

初期では肌の表面に黒や茶色の斑点が現れ、1〜2年をかけて徐々に大きくなっていきます。

初期では痛みなどの自覚症状がないので、肌のほくろやしみが増えたら注意深く観察するのが発見のポイントです。

悪性黒色腫(メラノーマ)が進行していくとこの斑点が硬くなったり、色が濃くなったりしていきます。さらに悪化するとリンパや内臓への遠隔転移が起こり、ここまでくると全身的な治療が必要です。

また爪に悪性黒色腫(メラノーマ)が発生すると茶色く変色します。まれに色素の少ない、赤っぽい悪性黒色腫(メラノーマ)が確認されることもあります。

原因を教えてください。

様々な要因が指摘されていますが、遺伝的要因と紫外線・肌への刺激などの環境要因が主です。

特に紫外線エネルギーは細胞の遺伝子を傷付けやすいといわれており、実際赤道付近の地域はこの病気の発症が高いことから、紫外線の浴び過ぎには注意が必要です。

ただし日本人は紫外線に晒されることの少ない手のひらや足の裏に発症することが多く、これは歩行などの刺激が原因の1つなのではと考えられています。

編集部まとめ

シニア女性
悪性黒色腫(メラノーマ)は日本人にとって比較的まれな皮膚の癌ですが、良性のほくろなどと見分けが難しく、発見が遅れがちな病気です。

早期発見の場合は患部を含む肌組織の切除のみで治療が終わることもありますが、リンパや内臓への転移があった場合は、全身的な化学療法が必要になる場合があります。

この病気の特徴は良性のほくろと違い、年を経て大きくなっていくこと・輪郭がギザギザであることなどです。

また日本人には手足と爪に症状が出やすい末端端子型が多いことがわかっています。

これらの特長を知っておき、もし身体に疑わしいあざやほくろが見つかった時は早めに専門医にかかりましょう。

参考文献

悪性黒色腫(メラノーマ)|国立がん研究センター 希少がんセンター

悪性度の高い皮膚がん「メラノーマ」 4つのタイプ、症状と検査、診断|NHK 健康ch

悪性黒色腫|Doctors File

皮膚がんのおはなし|鳥取大学医学部附属病院

配信元: Medical DOC

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