現在日本では高齢化に伴い、変形性膝関節症を発症する人の数が増えています。今回は早期発見するためのポイントなど、増本整形外科クリニックの増本先生に教えてもらいました。

監修医師:
増本 項(増本整形外科クリニック)
1985年慶應義塾大学医学部卒業。元・慶應義塾大学病院スポーツクリニック講師。元・日本女子体育大学スポーツ医学助教授。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会スポーツドクター、日本整形外科学会スポーツ認定医、アメリカスポーツ医学会会員、日本臨床スポーツ医学会会員。
編集部
変形性膝関節症は早期発見が大事な疾患ですか?
増本先生
はい。早期のうちは保存治療といって、薬を使用したり、運動療法で膝を支える筋力をつけたりすることで、症状の軽減が期待できます。しかし、症状が進むと手術をしなければならないこともあります。そのため症状に気づいたら放置せず、できるだけ早いうちに治療を開始することが必要です。
編集部
どのような症状に気づいたら、受診したら良いでしょうか?
増本先生
膝関節に痛みや腫れが見られたら、できるだけ早めに医師の診察を受けましょう。特に、痛みが2週間以上続いている場合には受診をお勧めします。「歳をとると膝が痛くなるのは当たり前」といって受診を見送る人も多いのですが、初期であれば医療の介入により症状の進行を抑えることができます。不安があれば早めにご相談ください。
編集部
特に、どんな人は要注意ですか?
増本先生
たとえば、20歳以降に徐々に体重が増えてきた人は要注意です。膝に大きな負荷がかかっている恐れがあります。それから、20~30歳代で関節の靭帯損傷を起こした人も要注意。二次性の変形性膝関節症を発症するリスクが高くなりますので、膝に違和感を覚えたら早めに受診してください。
編集部
そのほかにも注意が必要なのは、どんな人ですか?
増本先生
歩いているときに不安定感を訴える人も、早めに診察を受けることをお勧めします。歩行中に膝がしっかりしない、膝がガクガクするという場合、変形性膝関節症を発症すると変形が早く進む可能性があります。この場合には早めに整形外科を訪れ、できれば動作解析を行ってもらってください。必要があれば理学療法士による運動指導を受けることをお勧めします。
編集部
変形性膝関節症だった場合、自分で治すことはできますか?
増本先生
いいえ、一度擦り減ってしまった軟骨は、自然治癒を見込むことができません。放置するとどんどん関節の変形が進み、症状が悪化します。特に女性は40代、男性は50代以降で膝に違和感を覚えたら、早めに受診するようにしましょう。仕事内容によっては30代など若い人でも膝関節の変性が進み、変形性膝関節症を発症することがあるので、注意しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
増本先生
変形性膝関節症の診察で大切なのは、症状や痛みなどを客観的にスコアリングすることです。たとえば変形性膝関節症による痛みや機能障害などの尺度としてWOMACというものがありますが、これらを活用して症状を客観的に数値化することで、回復の度合いがわかりやすくなりますし、リハビリをする上での励みにもなります。変形性膝関節症に悩んでいる場合は、こうしたスコアリングを治療に取り入れている医療機関を受診することをお勧めします。
※この記事はMedical DOCにて<「変形性膝関節症」になりやすい人の特徴 とくに注意した方がいい2タイプの人とは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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