「フレイルを予防する」には何をすれば良いかご存じですか?特徴も医師が解説!

「フレイルを予防する」には何をすれば良いかご存じですか?特徴も医師が解説!

フレイルの予防法をご存知でしょうか?メディカルドック監修医が予防の他に主な原因や症状、何科へ受診すべきかなどを解説します。

伊藤 陽子

監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

フレイルとは?加齢による予備能力低下に注意

フレイルとは、加齢に伴って心や体が弱くなり、ちょっとした病気やケガでも元の状態に戻りにくくなっている状態です。自立と介護が必要な状態の狭間にあると考えられます。フレイルは可逆的であり、適切な介入を行うことで自立状態に戻ることが可能です。フレイルは、生命予後に影響し、入院のリスクとなります。フレイルを予防することで、自立した生活を長く続けられ、健康寿命を延ばすことができると考えられます。
フレイルを予防するには、身体的要因・精神的要因・社会的要因の3つの面に気を付けることが大切です。

身体に現れるフレイル

身体に現れるフレイルの1つとして、サルコペニアが挙げられます。
サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力の低下している状態です。体を支える筋力が低下することで、歩行スピードが遅くなったり、体を支えることが困難となり、転倒しやすくなったりします。「最近手足が細くなった」「椅子から立ち上がりにくい」「歩く速度が遅くなった」などの症状に気がついたときには早めに改善する必要があります。
また、筋肉だけではなく、加齢に伴い体の臓器の機能も衰えていきます。心臓や呼吸器、腎臓、消化器などさまざまな臓器の機能が低下していきます。

精神・気持ちに現れるフレイル

フレイルは、認知機能の低下や抑うつ症状などの精神・心理的な要因が併存していることが少なくありません。軽度認知機能障害(MCI)は可逆的であり、適切な環境調整などの介入を行うことで健常な状態に戻ることもあります。MCIを放置することで、介護が必要な状態や認知症に進行するリスクが高く、注意が必要です。予防として、適切な栄養状態を保つことや、運動をすること、社会的孤立を防ぐことも有効です。物忘れなど気になるようになった場合には、早めにかかりつけ医へ相談をしてみましょう。
また、認知症以外にもうつ症状や意欲低下、不安などの精神症状を認めることもあります。「意欲がなくなった」「閉じこもりがちになっている」など今までと違う症状がある場合には、精神科や心療内科で早めに相談をすると良いでしょう。

その他社会的なつながりに現れるフレイル

身体的な要因、精神的な要因の他に、社会的な要因がフレイルの要素となっています。孤食、社会的孤立、閉じこもりといったものが社会的フレイルです。
「独居」「援助者がいない」「相談をする人がいない」「社会的活動がない」などがあてはまった場合、社会的フレイルであると言えます。
社会的孤立があると認知症の進行につながり、閉じこもりがちになる事で身体的フレイルも引き起こします。社会的フレイルを防ぐために、周囲のコミュニティと関わり、社会生活に参加することが介護状態の進行や認知症の進行を防ぐことにつながり、とても重要です。

フレイルの原因は?

フレイルの発生にはさまざまな原因が関与していると考えられます。臨床的な因子、生活習慣因子、社会的因子、生物学的因子などです。臨床的な因子として、慢性疾患、低栄養、肥満、認知障害、うつ傾向などが挙げられます。生活習慣因子としては、運動不足、タンパク質の摂取不足、喫煙、アルコール多飲などがあります。社会的因子は高齢、独居などです。生物学的因子は慢性的な炎症やホルモン異常、微量栄養素の欠乏などと考えられています。
これらの中で改善が可能な因子、たとえば栄養状態の改善や運動不足の改善、社会生活への参加などに対して介入し、改善することでフレイルの進行を防ぐことができると考えられます。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。