「フレイルを予防する」には何をすれば良いかご存じですか?特徴も医師が解説!

「フレイルを予防する」には何をすれば良いかご存じですか?特徴も医師が解説!

「フレイル」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「フレイル」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ロコモティブシンドローム

骨・関節・筋肉などの運動器の障害により、立ち上がったり歩いたりすることがしづらくなった状態を「ロコモティブシンドローム」と言います。ロコモティブシンドロームがすすむと、介護が必要な状態となる事が多いです。ロコモティブシンドロームは、変形性膝関節症や骨粗しょう症、腰痛などさまざまな病気から動きづらくなったり、加齢によって筋力が低下したりすることが原因となります。「階段の上り下りがきつい」「長く歩き続けられない」「横断歩道を青信号で渡り切れない」などの症状が当てはまる場合、注意が必要です。筋力を維持するためのトレーニングを始めましょう。歩いて買い物に行くなど少しずつでも運動をする機会を取り入れると良いでしょう。
ロコモティブシンドロームが進行して、自覚症状が出るようになった状態が身体的フレイルです。

サルコペニア

サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少と筋力の低下を意味します。65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアであると言われています。筋肉量は40歳ごろをピークに徐々に低下し、70歳を超えたころから自覚症状がみられることが多いです。若いころと同じように筋力を維持することは難しいですが、栄養状態を改善し、運動をすることで筋力や筋肉量の改善を期待することができると言われています。介護が必要な状態とならないためにも、「手足が細くなった」「椅子から立ち上がりにくくなった」などの症状がある時には、早めに気を付けることが大切です。気になる症状がある場合には、まずかかりつけ医に相談をしてみましょう。

認知症

現在日本では、65歳以上の人口が約3割と高齢化が進んでいます。65歳以上の高齢者の中で認知症の方は約12%程度と言われています。また、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)の人が約16%程度と言われ、合わせると約3割程度が認知機能に関わる症状がある事が報告されています。
認知症は誰でもなり得る状態です。様々な病気により脳の働きが変化し、記憶や判断力などの認知機能が低下してしまい、社会生活に支障が出た状態を認知症と言います。
認知症の発症は、生活習慣病に関連していることが分かっています。バランスの良い食事や適度な運動を行うことで認知症を予防しましょう。
また、軽度認知障害の段階や早期の認知症で適切な環境の調整などの介入を行うことで、認知症の進行を緩やかにすることができると分かっています。物忘れが多くなったなど気になる症状がある場合には、かかりつけ医もしくは認知症外来などで相談をしてみましょう。

「フレイル」の正しい対処法・改善法は?

フレイルではないかと気になった場合、まず周囲へ相談することは大切です。かかりつけ医と相談して、病気などの影響はないかも確認しましょう。また、フレイルの進行を予防するためにも、バランスの良い食事、適度な運動、社会活動への参加はとても大切です。体を健康に保つためにも、睡眠を十分にとり、ストレスをためずリラックスできる環境づくりを整えましょう。

「フレイル」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「フレイル」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

フレイル予防の4つの柱も聞きますが、3つの柱のほかに何がありますか?

伊藤 陽子(医師)

フレイルの3つの柱の他に「口腔ケア」を合わせて4つの柱とすることもあります。口腔ケアを行い、口腔機能を保つことは、栄養状態の改善のためにも大切です。このほかにもしゃべりにくくなることで社会活動に参加しづらくなり、閉じこもりやすくなることも考えられます。バランスの良い食事、適度な運動、社会活動への参加とともに口腔ケアを行いましょう。

フレイルはどのくらい進行した状態でも予防が可能ですか?

伊藤 陽子(医師)

フレイルとは、自立と要介護状態の中間の状態で、介入により自立に戻すことができる可逆的な状態とされています。もちろん、状態がかなり進行している場合には、自立まで戻りにくい可能性はありますが、適切な介入により自立へ戻ることが可能と考えられます。

まとめ フレイルが気になるときはかかりつけ医へ相談

フレイルとは、身体的、精神的、社会的な面での障害により日常生活に支障が出ている状態です。適切な介入により自立へ戻ることも可能ですが、進行すると要介護状態となる事も多いです。なるべく早期にフレイルを発見し、適切な介入(バランスの良い食事、適度な運動、社会活動への参加など)を行うことで進行を防ぐことができます。気になる症状がある場合、引きこもり気味で相談する場所がない場合にはかかりつけ医や地域包括支援センターなどで早めに相談をしてみましょう。

「フレイル」で考えられる病気

「フレイル」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

整形外科系の病気

ロコモティブシンドローム

変形性関節症

腰痛症

骨粗しょう症

脳神経系の病気

認知症

軽度認知障害

内科系の病気

低栄養

肥満

精神科系の病気

うつ病

上記に挙げたものがフレイルを起こしうる病気、状態の一部です。さまざまな病気がフレイルを起こしうると考えられます。身体的な機能の低下、物忘れやうつ傾向などの精神的な症状がみられた場合には早めにかかりつけ医に相談をしましょう。

「フレイル」と関連する症状・関連する症状

「フレイル」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

歩くのが遅くなる

疲れやすい

運動などをしていない、するのが億劫となっている

重い荷物が持てなくなった

ペットボトルのフタがあかない

体重が減った

人とほとんど会っていない、話していない

これらの症状がある場合、フレイルかもしれません。かかりつけ医に相談をするか、地域の包括支援センターなどで相談してフレイルと進行させないようにしましょう。

参考文献

フレイルとは|日本サルコペニア・フレイル学会

フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ|長寿科学振興財団

ロコモティブシンドロームとは|日本整形外科学会

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配信元: Medical DOC

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