インフルエンザにかかると、高熱・倦怠感・咳・喉の痛みなどの症状で体力が著しく低下します。そのときに重要なのが、栄養バランスの取れた食事と適切な水分補給です。
しかし一方で、症状を悪化させるものや回復を遅らせる恐れのある避けるべき食べ物も存在します。
この記事ではインフルエンザのときに食べてはいけないものや控えたほうがよい栄養素について解説します。
適した飲み物や食事がつらいときの対処法、予防に役立つ食品もあわせて紹介します。体調を早く整えるには正しい食事の知識を身につけることが大切です。

監修医師:
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会
インフルエンザのときに食べてはいけないもの

インフルエンザのときに食べてはいけないものはありますか?
インフルエンザ罹患中は、以下のような食べ物は避けるのがのぞましいとされています。揚げ物や脂っこい料理
刺激の強い食べ物(辛い料理・香辛料など)
硬くて喉を刺激する食品(せんべい・スナック菓子・固いパンなど)
食物繊維の多い食品(ごぼう・こんにゃく・豆類など)
アルコールやカフェインを含む飲料(酒・コーヒー・エナジードリンクなど)
乳製品や冷たい食べ物は、下痢や胃の不調がある場合には控えたほうがよいですが、体調や症状によってはむしろ取り入れたほうがよいケースもあります。たとえば、ヨーグルトは整腸作用があり、アイスクリームやプリンなどは喉が痛いときにも食べやすい選択肢として紹介されています。
無理のない範囲で消化がよく口当たりの良いものを選びましょう。温かくてやわらかい料理を中心に、少量ずつ摂ることが負担を減らすポイントです。
摂取を控えたほうがよい栄養素はありますか?
インフルエンザのときには、以下の栄養素を過剰に摂取しないよう注意が必要です。脂質(1日60g未満を目安に)
糖分(1日25g未満を目安に)
ナトリウム(1日6g未満を目安に)
脂質は消化に時間がかかるため、胃腸に負担をかけやすく体調が優れないときは控えめにしましょう。糖分の多い食品は血糖値を急激に上げる恐れがあり、免疫機能を乱す可能性もあります。ナトリウムの過剰摂取は脱水症状を助長するため、味付けの濃い食事は避けたほうがよいです。インフルエンザの回復を早めるには、必要な栄養素をバランスよく体調に応じて摂取することが大切です。過剰摂取を避け、消化に優しい食事を心がけましょう。無理せず食べられるものから取り入れ、徐々に栄養を整えていくことが回復の鍵となります。
インフルエンザのときに避けたほうがよい飲み物はありますか
以下の飲み物は、インフルエンザ時には避けたほうがよいとされています。カフェイン飲料(コーヒー・紅茶・緑茶など)
エナジードリンク
アルコール飲料(ビール・ワイン・日本酒など)
これらはいずれも利尿作用があり体内の水分を排出してしまうため、脱水症状を引き起こす恐れがあります。特に発熱や下痢を伴う場合は水分不足になりやすく注意が必要です。脱水を防ぐには常温の水や経口補水液・スポーツドリンクなどがおすすめです。喉に優しく、吸収のよい飲み物をこまめに摂りましょう。特に発熱や下痢がある場合は、水分とともに電解質の補給も意識するとよいです。
インフルエンザのときのおすすめの食材や食べられないときの対処法

インフルエンザにかかっているときのおすすめの食材はありますか?
インフルエンザ時には、以下のような消化がよく栄養価の高い食材がおすすめです。主食類(おかゆ・うどん・雑炊など)
たんぱく質源(卵・豆腐・鶏ささみ・白身魚など)
ビタミンCを含む野菜や果物(ブロッコリー・ほうれん草・さつま芋・いちご・みかん・キウイなど)
主食は身体に負担をかけずにエネルギー補給ができ、たんぱく質は免疫機能を支える重要な栄養素です。ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の維持や回復を助けてくれます。体力を消耗しやすいインフルエンザ時には、こうした食材を中心に、体調にあわせて無理なく摂取することが大切です。食欲がない場合は無理をせず、食べやすいものから少量ずつ取り入れて徐々に回復につなげていきましょう。
インフルエンザに罹患中の食事のポイントについて教えてください。
インフルエンザ時の食事では、以下の点に注意すると効果的です。水分は1日2,000mL以上を目安に補給
ビタミンC(1日100mgを目安に)、亜鉛(1日8~11mgを目安に)を意識して摂取
たんぱく質・炭水化物をバランスよく摂る
脂っこい料理は避け、温かくやわらかい食事を選ぶ
味噌汁、スープ、ヨーグルトなど水分の多い料理を取り入れる
発熱や下痢による脱水を防ぐため、水分補給は特に重要です。また免疫を支えるビタミンCや亜鉛など体力回復に必要な栄養素をバランスよく摂取することが早期の回復につながります。脂質の多い食事は避けて、消化に優しい食事を選ぶことで弱った胃腸への負担を軽減できます。無理のない範囲で食べられるものから取り入れ、体調を見ながら徐々に通常の食事に戻していくことが大切です。
インフルエンザの症状が重くて食べられないときの対処法を教えてください。
どうしても食欲が出ないときには、無理に食べる必要はありません。ただし、脱水症状を防ぐために水分補給だけはこまめに行いましょう。飲み物はスポーツドリンク・果汁ジュース・スープなどが適しています。喉の痛みがある場合には、冷たいゼリー・アイス・プリンなどの喉ごしのよいものを取り入れると食べやすくなります。少しでも口にできるものから始めて、食べやすいと感じるタイミングを見計らい徐々に栄養補給していくのがポイントです。長期間食べられない状態が続くと回復が遅れる原因になるため、無理のない範囲で早めの対応を心がけることが大切です。
インフルエンザ予防に役立つ食品はありますか?
インフルエンザの予防には、以下の栄養素を含む食品の摂取が効果的です。たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)
ビタミンC(果物や野菜:いちご・みかん・ブロッコリーなど)
亜鉛(レバー・牡蠣・チーズ・ナッツなど)
たんぱく質は免疫細胞の材料となり、身体の防御力を高めます。ビタミンCは抗酸化作用があり、ウイルスに対する抵抗力をサポートします。さらに亜鉛は免疫機能を正常に保つために不可欠なミネラルであり、日常的な摂取が効果的です。
また栄養バランスのとれた食生活に加えて、手洗い・うがい・マスク着用などの標準予防策も欠かせません。外出後の手洗いや、混雑した場所でのマスク着用を徹底し、清潔な生活環境を保つことで、インフルエンザを含む感染症全般の予防につながります。

