知的障害とは、おおむね18歳までの時期に現れる障害のことです。細かい思考や問題解決能力が不得手であるなどの症状がみられます。
細かい文章の読解や会話の理解ができない際に、知的障害ではないかと不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、知的障害の特徴を解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「知的障害」の特徴・症状・接し方はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
知的障害との向き合い方

知的障害がある人とどのように接すればいいですか?
知的障害がある人との接し方としては、次のポイントを押さえて接しましょう。本人の願いや思いを優先する
わかりやすく伝える
予防的な対応を行う
知的障害がある人と接する際には、知的障害の程度や年齢に関わらず、まずは本人の願いや思いを優先するようにしましょう。
本人の思いが優先されることが、何よりも本人の幸福に繋がっていきます。また、わかりやすく伝えることが重要です。具体的な伝達・端的な言葉・ゆっくりとした口調を心がけて伝えましょう。
予防的対応を取ることも必要です。問題が生じてから考えるのではなく、ルールや対処法をあらかじめ伝えておくなど、予防的な対応を行いましょう。
成功体験が増えるほど、その経験をもとに物事の理解が早まるケースがあります。
大人になってから知的障害と判明する場合もあるのでしょうか。
軽度の場合は、大人になってから判明する場合があります。症状が重い状態であれば、小さいころから言語・コミュニケーションの端々で発覚するケースが多いです。しかし、軽度の場合、あからさまに感じられないケースがあります。そのため、医師の診断がない限り発覚しないケースがあるのです。その結果、大人になるまで判明しないことも多々あります。
では、どのような場合に判明するのかというと、仕事や周囲との会話の中で突然判明することがあります。代表的な一例としては、仕事上の評価などです。
知的障害はあるものの、自分である程度課題やトラブルを解決できるため、できないときに怠けていると判断されてしまうケースがあります。
その評価の結果、ストレス疾患・不登校・うつ病などを患ってしまい、受診したところ知的障害と判明するケースが多いのです。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
知的障害は、軽度なものから重度のものまであり、軽度のものであれば自分でも気づかない可能性があります。具体的な症状や原因を理解して、もしかすると自分も該当しているかもしれないと感じた場合には、医師に相談してみましょう。また、周囲に知的障害の人がいた場合には、どのような伝え方がわかりやすいのかなどを押さえた上で、サポートをしてあげましょう。
本人の思いを尊重し、少しずつ経験を積めばできるようになることも多いです。工夫をしながら適切なサポートで支えましょう。
編集部まとめ

知的障害は、軽度~最重度まで段階があり、併発しやすい病気などもあるため非常に注意が必要な病気です。
遺伝よりも突発的な染色体異常などで起こることが圧倒的に多く、大人になって急に知的障害と判明するケースもあります。
自分が知的障害なのか気になる方は、一度医師に相談してみましょう。また、自分の周りで知的障害の人がいる場合には、サポートができるように接し方を押さえておきましょう。
参考文献
(3)知的障害(文部科学省)

