コンビニが最も身近な“異文化交流”?
2025年10月、X(旧ツイッター)上で、コンビニエンスストアの外国人店員をめぐる議論が過熱しました。発端は同月中旬、有名出版社の男性編集者が投稿した体験談です。男性はコンビニで交通系ICカードSuicaのチャージ不足による支払いトラブルを経験し、外国人店員から高圧的な対応を受けたことなどを投稿。この内容は11万以上の“いいね”を集め、瞬く間に拡散されました。同時期に、特殊詐欺を防いだコンビニ店員のネパール人留学生が表彰されたニュースが報じられるなど、外国人店員への評価が賛否両論に分かれ、移民政策全般の議論に波及しています。
この話題の背景には、日本で働く外国人労働者の急増があります。2024年10月時点で外国人労働者数は230万人(前年比12.4%増)を超えており、コンビニ業界の人手不足を補うため彼らは大きな役割を果たしています。しかし、言語の壁や文化の違いによるトラブルが表面化し、X上ではたびたび議論が交わされるようになりました。
主な争点は、もはや外国人店員なくしては維持できないと言っても過言ではないコンビニの利便性と、接客や治安への懸念です。肯定派は労働力不足の解消や店員の努力を高く評価し、一方の否定派はコミュニケーションの難しさや“日本らしさの喪失”を問題視しています。

肯定派の「インフラ維持」、否定派の「日本人軽視」
肯定派の声は、コンビニの24時間営業を支える外国人店員の必要性を強調します。「人手不足の中、外国人スタッフなしでは店舗が維持できない」「接客も丁寧で頑張っている」「何ら問題を感じない」といった投稿が目立ち、前述したネパール人店員の詐欺防止の事例が好意的に共有されています。
経済的現実として、現状の賃金で働く外国人労働者がいなければ店舗閉鎖や品薄により生活が不便になるとの指摘のほか、「国籍に関係なく良い人はいる」と多文化共生を支持し、排他主義を批判する声も広がっています。
一方、否定派は個別のトラブル体験を基に強い不満を表明します。
「態度が悪い」「言語が通じない」「高圧的」との投稿が多く、冒頭の男性が投稿に書いた「日本なのに日本人の自分が完全にアウェー」に共感する声が目立ちます。加えて、外国人客の増加による万引きや迷惑行為、さらには治安悪化への懸念が議論を過熱させる要因となりました。
「日本人だけで回すべき」「移民政策は日本人蔑視」と、店舗数を減らしてでも“質”を重視すべきとの主張が主流。これらは、外国人労働者への不満を超え、移民政策全般への反発と結び付いています。
しかし、否定派の一部の投稿はヘイトスピーチとも取られかねない内容を含んでいます。外国人店員を「治安悪化の原因」「日本から出ていけ」とひとくくりにするものや、「不潔」「態度が悪いのは文化のせい」とネガティブなイメージをステレオタイプ的に語る投稿などがその例です。
自身が体験した個別のトラブルを外国人スタッフ全体に一般化することは、カスタマーハラスメントを助長する恐れがあり、専門家からは社会の分断を深めるとの警鐘も聞かれました。


