
フジテレビで放送中の沢口靖子主演「絶対零度~情報犯罪緊急捜査~」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)は、15年続く人気シリーズ「絶対零度」のシーズン5である。シリーズを通して、冷酷で残虐さが際立つ事件であってもあきらめずに捜査にあたる刑事たちの活躍が描かれる。前シリーズである2020年放送の沢村一樹主演「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」はFOD・TVerで無料公開中。ベテラン刑事・井沢(沢村)たちが、最恐悪女の社長夫人に詰め寄る第7話を紹介する。
■ミハンは亡き夫から社長を継いだ女性を怪しむ
今作は、日本全国の防犯カメラ映像、メール、電話、SNSの通信履歴など、あらゆるビッグデータを解析して割り出された“未来の犯罪者”を潜入・追跡捜査し、犯罪を未然に防ぐ「未然犯罪捜査班」(通称・ミハン)の活躍を描く刑事ドラマ。
第7話。井沢(沢村)たちは、ミハンが割り出した新たな危険人物の捜査を始める。その人物とは、大手フィットネスクラブの社長・仁科紗耶香(佐藤江梨子)だ。紗耶香は、5年前に起きた強盗殺人事件で社長だった夫の輝幸(青戸昭憲)を殺され、自身も瀕死の重傷を負った被害者だった。輝幸の死後、会社を引き継いだ紗耶香は、着実に業績を伸ばして経営者としての才能を発揮していたが、短時間で毒性が消えてしまうため検出されない危険な毒物を密かに入手していた。
■井沢がスポーツインストラクターとして紗耶香に接触
井沢は、スポーツインストラクターとして紗耶香に接触。山内(横山裕)と小田切(本田翼)も、ジムの会員となって潜入捜査を始める。最初に捜査線上に浮かんだのは、紗耶香の会社が所有するウインタースポーツの実業団チームでコーチを務める辰巳(阿部亮平)だ。辰巳は、紗耶香を脅迫し、金銭を要求していた。一方、山内たちは、紗耶香の秘書・江波(本宮泰風)が格闘技経験者であることを見抜く。加賀美(柄本明)によれば、江波はかつて興信所で働いていた人間らしい。
■ジム社長“紗耶香”の色気に加賀美がメロメロになる
井沢たちが辰巳の調査を続けていた最中、新たな人物が紗耶香に接触する。それは科学捜査研究所の主任研究員・真鍋(宮川一朗太)だった。真鍋は、どんな手間も惜しまずに被害者のために真実を追究する人物で、これまでに数々の難事件を解決に導いていた。そして彼は、輝幸と紗耶香が襲われた5年前の事件も担当していたことが判明する。
捜査を進めるにつれ、次第に明らかになっていく紗耶香の悪女ぶり。井沢や山内が爽やかイケメンのインストラクターや健全なジム利用者として潜入するシーンが清涼剤に感じるほど、紗耶香の周りは凶悪犯罪のムードが漂って緊迫感に包まれている。しかし、加賀美は紗耶香の写真を一目見たきり「タイプだ…」「色気がすごいな」などとメロメロになっており、捜査員の中でひとりだけ別の視点で動いている印象。
中でも、加賀美が和服に身をを包んだ大御所小説家としてジムに潜入し、紗耶香を知る女性2人に聞き込み調査するシーンは、柄本明の喜劇のようなオーバーリアクションが冴えわたり笑いすら散りばめられていた。真剣捜査と捜査員の自由な機転といった緩急があるところも「絶対零度」シリーズの魅力である。

