「浪費癖」とは? 買い物依存症との違いも解説
深く考えずに衝動的に買い物をして、あとになって金額を見て不安になった…そんな体験をした人は以外にも多いのではないでしょうか? 本記事は、浪費癖の原因や改善方法を公認心理師の筆者が解説します。「浪費癖」とは、“物を必要以上に買ってしまう癖”をいいます。
10月1日放送の日本テレビ系「上田と女が吠える夜SP」では、「お金の使い方がうまい女&ヘタな女」というテーマが取り上げられていました。浪費癖のあるゲストとして、お笑いコンビ・フォーリンラブのバービーさんが、自らの浪費癖を告白しました。バービーさんは、通関士(国家資格)の教材を約10万円分買い1ページ開いてやめた、20万円のコピーライター養成講座に2回しか通わなかったなどの経験を紹介。インドネシア語のミュージックビデオに自費で600万円もかけたエピソードも明かし、スタジオを驚かせました。
「買い物依存症」は、自力で改善できる浪費癖と異なり、自覚があっても自分で買いたい衝動を抑えられない状態です。借金を繰り返し、家計が破綻しても買い物をやめられない人もいます。買う行為に強い快感を覚える人は、浪費癖から買い物依存症へ移行する危険性があります。こういった傾向がある人は、買いすぎる傾向を自覚し、お金を使いすぎないよう工夫することで改善することが可能です。
では、浪費癖がつく原因にはどういったものがあるのか? 5つの特徴を挙げていくので、自分に当てはまるかチェックしてみてくださいね。
(1)自分をよく見せたい
自分に自信がなく、「自分をよく見せたい」と強く思っている人は浪費癖を持ちがちです。外見・地位・他人からの評価が過剰に気になって、高価な服やバッグを買ったり不必要に周りに奢ったりして、心のバランスを保とうとするからです。その結果、見栄を張って実際の経済力以上にお金を使ってしまいます。
(2)「期間限定」「セール」に弱い
「期間限定」「セール」といった言葉に弱い人も、浪費癖になりやすいでしょう。「今買わないと損しちゃう!」と不安になり、本当に必要かどうか判断できなくなります。買う予定はなくても、目の前でタイムセールが始まると、つい衝動買いしてしまうケースもあります。
(3)ストレスを解消したい
ストレス解消目的でお金を使う傾向も、浪費癖の原因の1つです。イライラしているときにお金を使うと、脳内に快楽物質と呼ばれる「ドーパミン」が分泌され、一時的に快感を覚えるからです。嫌なことがあったあとコンビニスイーツを爆買いしたり、ネット通販で服やコスメを大量注文したりする人も、この原因があてはまるでしょう。
(4)買い物自体に満足感を覚える
買う行為に満足感を覚える傾向も、浪費癖の原因の1つです。この場合、買ったものを使うのではなく、買い物自体が目的となっています。バービーさんも高額な教材や講座を「1回やっただけで全て私は学んだっていう気になっちゃう」と語っているため、学習より買うことが目的になっていたと考えられます。
(5)貯金への意識が薄い
貯金への意識が薄い人も、今を楽しみたい気持ちを優先するあまり、計画的にお金を使うのが難しくなります。手持ちの金額や残高を把握していなくても「あとで何とかなる」と考えて購入し、支払いを先延ばしする人もいるでしょう。
浪費癖は治るのか……?
浪費癖は治るのか……4つの改善方法について解説していきます。
(1)現状の収支を把握する
浪費癖を改善するには、現状の収支の把握が不可欠です。最近はクレジットカード払いやキャッシュレス決済が一般的となり、現金払いの機会が減ったため、お金を使っている実感が薄くなりました。家計簿に収支をまとめると、不必要な買い物の金額や固定費が一目で分かり、ひと月の予算も決められるようになります。手書きの家計簿が面倒な場合は、スマホの家計簿アプリを使うと便利です。使った金額だけでなく、明細も必ずチェックしましょう。
(2)必要以上お金を使えない仕組みを作る
お金を必要以上に使えない仕組みを作るのも効果的です。自分の意志に頼るより、買えない状況を強制的に作る方が出費を減らせるからです。具体的には、キャッシュレス決済やクレジットカードは極力使わない、外出時は財布に必要最低限の現金だけ入れるなどの方法があります。
(3)ストレス解消法を見つける
お金をなるべく使わないストレス解消法を見つけることも大切です。いちばんのおすすめはウォーキングやジョギング。リズミカルに動くことで幸せホルモンと呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌が促進され、ストレスの軽減につながるからです。また、高額なジムに入る必要もなく、スニーカーや動きやすい服さえあれば今すぐ始められます。
(4)お金を貯める習慣を作る
少額からでもいいので、お金を貯める習慣を作りましょう。毎月一定の金額が貯蓄用口座に自動送金されるようにして、その口座に触らないようにすると、強制的に使えるお金を制限できます。また、インデックス投資を長期的に続ければ、複利で資産を増やせるため将来の備えにもなります。
「浪費癖」は、お金の使い過ぎを自覚すれば自分の意志で改善できます。ただし、すべてを一度に変えようとすると逆にストレスが増加し「リバウンド」が起こる恐れもあるため、今すぐできそうなものから始めてみましょう。どんな工夫をしても浪費を止められない場合は、買い物依存症になっている可能性もあります。自分1人で解決できないと判断したら、1人で抱え込まず医療機関に相談しましょう。
(やっちゃそ)

