●有罪の立証責任は検察側にある
もちろん、被疑者・被告人がとうてい認められないような不合理な弁解に終始することもあります。
しかし、刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」という大原則があります。有罪を立証する責任はあくまで検察官側にあるのです。
「衝突の中から真実が生まれる」などといわれることがあります。これは、弁護側が可能な限りの反論を尽くし、検察官の立証と徹底的に照らし合わせる(衝突する)ことで、初めて疑いようのない事実が証明され、刑罰という不利益を科すことができるという考え方です。
たとえ世間から冷たい評価をされ、誹謗中傷を受けることがあっても、刑事弁護人は、この原則に基づき、被疑者・被告人の主張に耳を傾け、可能な限りの弁護活動を行う責務があります。もちろん、だからといって虚偽の証拠を提出したり、偽証を促したりできないことはいうまでもありません。
それは、弁護人が、無罪の者を処罰するという「最悪の事態を避けるための最後の砦」として機能するためです。刑事弁護の仕事は、偏見なく事実を聞き、真実を闇の中に葬らせないよう一つ一つの事実を確認していくことから始まります。

