● セクストーションが人生を蝕む
モエさんは錯乱状態になって抵抗したが、その件を放置しておいたところ、連絡は途絶えた。やがてモエさんは社会人となり、一人暮らしを始めた。4年ほど経過し、元彼のことはすっかり忘れていたが、突然会社宛に元彼から手紙が届いたという。
モエさんが恐る恐る封を開けると「セックスのビデオを売るので、許可してほしい」と書かれていて、モエさんのルックスやセックスの状況(あえぎ声の大きさや感じ方など)が項目別に採点されており、「70万円で売れます」とのこと。付き合っていたのは学生時代なので、就職先は知られていないはずだったが、モエさんには1つだけ心当たりがあった。それは就職情報サイトで、モエさんは、新卒者向けの企業紹介ページに先輩として登場、顔写真や名前、部署名、役職を公開していたのだ。勤務先が知られてしまった以上、元彼がいつやって来るかわからないので、会社を辞職。警察にも届けることに…。
今回の事例に限らず、性的な画像や動画を撮らせる女性は、「ごく一部のチャラチャラしている人だけではない」と渡辺氏は指摘する。被害女性の1つの特徴として、親からの愛情不足や孤独、自己評価が低いなどが挙げられるそうだ。将来、わが子をセクストーションの被害者にしないためにも、親は子どものうちから「いちばん大切なのはあなた」と言葉をかけ、寄り添い、愛情を注ぐことが必要なのかもしれない。
(取材・文/谷亜ヒロコ)
