「いじめ」の認知件数が過去最多に! その背景にあるものとは?

「いじめ」の認知件数が過去最多に! その背景にあるものとは?

●社会全体が「いじめ」ができない雰囲気を作っていかないといけない

こういった子どもたちの状況、変化に教師や親といった大人たちがついていけていないのが問題だという。さらに、増田先生は、いじめへの大人の対応についてももっと改善が必要だと指摘する。

「現在のいじめへの対応は、加害者と被害者という当事者同士だけを指導して、その場で謝罪・和解させ表面的に解決したつもりになっているんです。つまり、そういった部分部分で解決していっても意味がないのです。クラス、学年、学校、社会レベルで追求し、“いじめはおかしい”という雰囲気、いじめができない雰囲気を作っていかなきゃいけない。また、いじめる子はなぜいじめるのか? その根本的な原因を掘り下げていかなければまた繰り返すだけなのです。つまり、一番問題としなければならないのは、見て見ぬふりをしている周りも同罪だということにみんなが気づかなければ、いじめはなくならないのです」

いじめの件数を明らかにして終わりではありません。その結果をもとに、なぜいじめるのか? なぜ、いじめがなくならないのか? 対策は? と、あらゆる角度からいじめ問題を追求し、社会全体で真剣に取り組んでいかなければならないのではないでしょうか。
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

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増田修治

白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授

埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。