「片付けが苦手な子にいくら叱っても効果はありません。その場は片づけてもまた散らかってしまう。その繰り返しでしょう。それは、そもそも片付けの仕方がわかっていないからなんです。つまり、一気に片付け上手にはならないということです。なかなか片付けが身に付かない子には、“スモールステップ”で進める方法がおすすめです」
そう話すのは、教育評論家の親野智可等先生。“スモールステップ”とは、その子の実状に応じて、過不足のないサポートをし、段階を踏んでできるようにしていく方法だという。具体的な“片付けの工夫”については後ほど触れるとして、進め方は以下のようにしていくという。
1) 親が一緒にやりながら、“片付けのやり方、工夫”を教える。
2) 次に、親が見ているところで自分でやらせ、必要に応じて言葉での指導をする。
3) 次に親が見ているところで自分でやらせ、最後に親が指導したり褒めたりする。
4) 次に、親が見ていないところで自分でやらせ、最後に親が指導したり褒めたりする。(これを見届けという)
5) 次に、親が見ていないところで自分でやらせ、一日おきに親が指導したり褒めたりする。
6) 次に、親が見ていないところで自分でやらせ、ときどき抜き打ちで親が指導したり褒めたりする。
「このように進めていきますが、気を付けてほしいポイントとしては、親御さんがこの指導をはじめたことを忘れてしまわないことです。ある日突然、思い出して感情的に叱りつけることを繰り返してしまう…。実は、これがしつけがうまくいかない最大の原因なのです。なので、この“スモールステップ”の流れの表を目に付くところに貼っておきましょう。また、お子さんが今、どの段階かということをしっかり印など付けて把握しておきましょう」

では、片付け上手になるための基本となる、片付けのやり方“合理的な工夫”の具体例を紹介!
●片付けタイムを設定する
「片付けタイムを設定します。例えば、毎日午後5時55分になったら、必ず5分間片付けをするというふうに決めておきます。その時刻になったらきょうだい全員、または家族が一斉に片付けをするのです。タイマーをセットして、その時刻に決まった音楽が流れるようにしておくと忘れずにすみますので効果的です。そうすることで、条件反射的に片付けモードになるようになります。また、片付けが苦手な子でも、必ず一日一回は片づけをすることになります」
●棚、引き出し、箱などの収納用品に工夫
「収納場所に入れる物を明示(ラベリング)します。片付けの苦手な子の多くは、“おもちゃ”“ゲーム”“学校用品”なんでもかんでも入れてしまいます。でも、箱ごとに“おもちゃ”“ゲーム”、“学校用品”と明示してあれば意識して気を付けるものです。そして、これは“一カ所に同じ物を集める”という整理整頓の基本が身に付きます。このとき注意してほしいのは、あまり細かく分けてしまうと大変になってやらなくなってしまうので気を付けましょう。それから、明示は大きく、見やすく書くことがポイントです。小さい子の場合はイラストや写真を貼るのも効果的です」
