月の残業は平均5時間以内「髙島屋」がママ社員の両立支援を行うワケ

月の残業は平均5時間以内「髙島屋」がママ社員の両立支援を行うワケ

近年、ブラック企業が話題になることが多く、サービス残業や長時間労働などが問題視されています。しかし、そういった企業がある一方で、月の残業時間が平均5時間以内と、健康的な経営をする企業があるのも事実。 たとえば、みなさんがご存じの百貨店・高島屋(※)もそのうちの1社。そんな企業であれば、きっとママも働きやすい環境が整っているはず。そこで、いったいどんな制度が用意されているのか、株式会社高島屋の人事部・須江景子さんに話を聞きました。

1991年からママ社員の両立支援を行っている

女性の社会進出促進やダイバーシティ(多様性)が注目され、少しずつ女性やママ向けの制度や福利厚生を拡充させる企業が増えています。でも、高島屋は20年以上も前から、ママ社員の両立支援を行っているといいます。そのわけは…?

「当社は社員の女性比率がほぼ7割です。育児や結婚、出産などを理由に退社されると、一般の会社よりも困るというのが、ずいぶん昔からありました。そういった背景があり、両立支援を始めたんです。たとえば、育児のために勤務時間を短縮できる『育児勤務』制度は、1991年にはスタートしています。当時はまだ勤務時間のパターンが少なかったのですが、“子どもの成長に合わせてもっと長く働きたい”といったニーズがあり、段階的にパターンを充実させてきました」(須江さん、以下同)

他にも、通常では育児勤務で3時半や5時半が終業だが“繁忙期には店頭に貢献したい”という従業員のニーズを汲み、あらかじめ申請しておけば、決められた日数内でフルタイム勤務ができるようになる制度もあるそうです。育児勤務中の正社員の3分の1はこの制度を活用しており、会社に貢献し、自身のキャリアアップにもつなげているのだとか。

実際に制度を利用している社員からは、「フルタイム勤務を数日入れることで、今後ママがこういう働き方に変わっていくことを子どもに伝えることができるので助かっている」という声もあるといいます。

高島屋

有休を積み立てられるリザーブ休暇

日本は有休が取得しづらいといわれており、まったく消化できない人もいると思いますが、高島屋の場合は積み立てることができるそうです。

「有休は全消化を推奨しておりますが、当社の有休は最大20日与えられていて、平均10日くらいの取得率です。半分くらいが残ってしまうので、それを積み立てておき、いざというときに使えるのが『リザーブ休暇』です。旅行などには使えませんが、育児や親の介護、自身の病気などに使うことができます」

他にも、育児向けの制度としては、スクールイベント休暇と呼ばれれるものもあるのだとか。

「スクールイベント休暇は、育児やお子さんに特化したもので、1日または半日を年に2日間取得することができます。適用範囲は、お子さんだけでなく、お孫さんにも適用できます。というのも、当社の正社員の平均年齢は45歳を超えており、お孫さんを持つ社員も多いためです」

「わが子の授業参観や孫の運動会に参加したい」と思う人は多い。そういった社員の気持ちを汲み取った制度が、スクールイベント休暇です。

お話をお聞きした人

株式会社高島屋

高島屋は創業1831年、会社設立1919年。国内17店舗、海外3店舗を構える老舗百貨店。