刑罰観点でも過失が重い「駅ホームでの歩きスマホ」
また、たとえばこんなケースでも、場合によっては重過失致死傷罪が適用されてしまうかもしれないという。
「駅のホームすれすれを歩きながらスマホをしていて人とぶつかり、線路に突き落としてしまった場合。ホームという危険な場所での歩きスマホもさることながら、たとえばイヤホンで音楽を聴いていた場合などは、より過失が高いとみなされます。事故が起こりやすい場所で、しかも聴力を遮断している状態となれば、リスクが高まることが事前に予測できるはずですので」
なお、こうしたリスクは加害者に限ったことではない。歩きスマホをしている際に自分が交通事故の被害に遭ってしまったケースでも、裁判で厳しい判決が下ることがあるようだ。
「民事上の話ですが、歩きスマホで赤信号を渡り車にひかれて被害者になった場合、十分に損害賠償を受けられない可能性もあるんです。基本的には加害者が被害者に賠償しなければならないのですが、被害者の方にも過失があるケースでは賠償額が減殺されます。仮に亡くなってしまった場合も、70%以上減殺される可能性があります」
自分は気をつけているつもりでも、どこに危険が潜んでいるかはわからない。歩きスマホがクセになってしまっている人は、もしもの時の代償について、改めて考えてみるべきだろう。
(小野洋平/やじろべえ)
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