出産手当金はいくらもらえる?

続いて、支給期間と支給額について解説します。概算にはなりますが、出産手当金がいくらもらえるのか計算しておくとよいでしょう。
支給の期間
支給される日数は、妊娠の状態によっても異なります。
・単胎妊娠:出産予定日以前の42日+出産翌日から56日までの計98日間
・多胎妊娠:出産予定日以前の98日+出産翌日から56日までの計154日間
「単体妊娠」とは、おなかの中に赤ちゃんが1人だけの妊娠です。「多胎妊娠」とは、双子や三つ子など、2人以上の妊娠のことをいいます。
1日に支給される金額は変わりませんが、多胎児の場合は出産の98日前から産休に入れる会社が多いため、その分支給日数が増えることになるでしょう。
また、出産予定日を過ぎて生まれることも珍しくありません。その場合は、産前42日分に「遅れた日数分」が追加で支払われます。
1日当たりの支給額
出産手当金の支給額は、次の計算式によって割り出されます。
・出産手当金(日額)=休職前12カ月分の各標準報酬月額÷30日×3分の2
(※小数点1位以下は四捨五入)
標準報酬月額とは、基本給のほか、能力給・各種手当・残業代・交通費などを含んだ総支給額から計算されます。賞与は年3回以下は含みません。
たとえば、額面で毎月30万円の給与を受け取っている場合は、日額約6667円となり、予定日当日の出産で総額約65万3366円が支給されることになります。
継続した給与の受け取り期間が12カ月に満たない場合は、「支給開始月以前までに継続した分の標準報酬月額」か「月額30万円」のどちらか少ない額を基準とすることになるでしょう。
申請から支給までの流れ

出産が近づくと、入院準備や産後の用意などで慌ただしくなります。きちんと手続きを済ませられるように、申請から支給までの大まかな流れを把握しておきましょう。
勤務先に受給したいことを伝える
産休に入る予定ができたら、まずは直属の上司にその旨を報告します。その際、出産手当金の手続きをどう進めたらよいのか確認しておきましょう。
ある程度の規模の会社では、社会保険関係の手続きを「総務部」や「人事部」が執り行っていることが多いです。また、「社会保険組合」に直接申請するケースも少なくありません。
なお、継続して勤務していても、条件から外れてしまえば支給対象外となってしまう可能性があります。自分が申請書を出す場所がわかったら、「自分が支給対象であるか」「産休スケジュールに問題はないか」の2点について確認しておくと安心です。
必要書類を準備する
出産手当金の申請には、以下の5点が必要です。
・出産手当金の支給申請書
・健康保険証(コピー)
・母子手帳(コピー)
・印鑑
・事業主の証明書類
会社が代理で申請する場合、担当部署に申請書が常備されていることもあります。個人で申請する場合はインターネットで申請書をダウンロードできるところもあるため、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のHPをチェックしてみるとよいでしょう。管轄の「社会保険事務所」から取り寄せることもできます。
証明書類のコピーは、家にコピー機能付きのプリンターがあれば簡単です。しかし、忙しい時期になると面倒に感じることもあるため、申請書を取ったタイミングで用意しておくことをおすすめします。
なお、加入している健康保険組合によっては、「賃金台帳」や「出勤簿」といった上記以外の添付書類が必要なケースもあるでしょう。
健康保険出産手当金支給申請書 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会
記入後に提出する
申請書には、以下の3者による記入欄が用意されています。
・申請者(本人または受取代理人)
・事業主
・医師や助産師
このうち、申請者が記入する欄と勤務先の記入欄を事前に埋めておくと、産後の手続きがスムーズでしょう。病院の記入欄については、「出産前に予定日を記入して申請する」こともできます。その場合であっても、出産後に実際の出産年月日の証明が必要です。
複数回に分けて申請する場合は、1度医師・助産師の証明を受けていれば2回目以降は再度記入してもらう必要はありません。
なお、申請期限は「産休に入ってから2年以内」です。なるべくはやめに申請を済ませ、満額受け取れるようにしておきましょう。
支給は1カ月から2カ月後
実際に入金されるのは「申請の約1~2カ月後」が目安です。給与のように、月ごとに支払われるわけではありません。
また、申請が受理されるのは、産後の休暇が終わった後です。たとえば、4月1日に出産し産後57日目の5月27日に受理されたとしても、出産手当金が支給されるのは7~8月ごろになります。
つまり、5カ月近く(多胎児なら約半年)の間、収入がない状態で生活することになるのです。そのため、たとえ出産手当金が受け取れるとしても、その間の生活費は事前に確保しておく必要があるでしょう。
