造影剤を使用したCT検査とは?メディカルドック監修医が造影剤を使用したCT検査のメリット、副作用の可能性、検査の流れ、発見できる病気についてご紹介します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
CT検査・造影CT検査とは?
CT(コンピュータ断層撮影)検査は、X線を用いて体内の断面画像を撮影する検査です。なかでも「造影CT検査」は、造影剤という薬剤を使用して、血管や臓器、病変の状態をより鮮明に映し出す方法です。本記事では、造影剤を使用するメリットや注意点、検査の流れ、発見できる病気について、医師の視点から詳しく解説します。
CT検査とは?
CT検査は、X線を360度方向から照射し、そのデータをコンピュータで再構成することで体内の断面画像を得る検査です。レントゲンよりも精密で、骨や臓器、血管の状態を詳細に確認できます。
CT検査は何科でできる?
ほとんどの総合病院や専門クリニックで、造影CT検査を受けることができます。依頼は内科、外科、脳神経外科、呼吸器内科、循環器内科など多岐にわたります。
CT検査を受けるタイミング
健康診断や人間ドックのオプションとして受けられるほか、症状に応じて医師が必要と判断した場合に保険適用されます。年齢制限は特にありませんが、被ばくの観点から小児では慎重に行われます。
CT検査に使用する造影剤とは?
CT検査、MRI検査など、検査によって造影剤の種類は異なります。ここでは、CT検査に用いられる造影剤について詳しくみていきましょう。
造影CT検査に使用する造影剤とは?
造影剤は、X線を吸収しやすい性質を持つヨードを含む薬剤が用いられます。血管や臓器のコントラストを強調し、病変の有無や性質をより明確にします。
造影剤を使わないCT検査もある?
造影剤を使わない「単純CT」でも骨や出血の有無などは確認できますが、血管や腫瘍の詳細な評価は難しい場合があります。造影剤を使うことで、がんの広がりや血流障害などがより正確に把握できます。ヨード造影剤アレルギーや腎機能障害がある方などでは、単純CTでの評価が望ましい場合もあります。
CT検査で造影剤はどこから入れる?
CT検査では、造影剤をどこから入れるか疑問に思われるかもしれません。一般的には腕の静脈から注射または点滴で投与します。消化管の評価目的では、経口造影剤を検査前に飲むこともあります。
CT検査で造影剤を使用した際に副作用はある?
多くは軽度で一時的ですが、まれに以下のような副作用が生じます。
•軽度:吐き気、発疹、かゆみ、熱感
•重度(稀):呼吸困難、アナフィラキシー、腎機能障害
検査の際には、副作用が出ないかどうか、しっかりと医療従事者による確認が行われます。
CT検査で造影剤を控えた方が良い人は?
以下のような場合は、事前に検査を受けようとする医療機関に伝えるようにしましょう。
多くは、問診で拾い上げが可能ですが、再度確認しておきましょう。
•過去に造影剤アレルギーを起こしたことがある方
•ヨード過敏症の方
•重度の喘息やアレルギー体質の方
•腎機能が低下している方
•糖尿病で特定の薬(メトホルミンなど)を内服中の方
•マクログロブリン血症、多発性骨髄腫と診断されている方
•副腎腫瘍と診断されている方
•重篤な心臓病・肝臓疾患のある方
これらに該当するような際には、造影剤を使わずに検査が行われることがあります。

