インプラント治療後のケアでは、「何か特別なケアが必要?」「歯医者通いはいつまで?」「ケアを続けるのが面倒」など、疑問や不安をお持ちの方も少なくないようです。そこで、インプラントケアのモチベーションを維持するためのポイントを、まつのき歯科間々田クリニックの小松先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
小松 貴紀(医療法人社団 まつのき会)
新潟大学歯学部卒業。同大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科、長岡赤十字病院口腔外科などでの勤務を経たのち、まつのき歯科クリニックを開院。「患者さんファースト」の精神で、最善最良の治療を提供する。国際口腔インプラント学会認定医。臨床歯科麻酔指導医。
編集部
インプラントのケアやメンテナンスの重要性は理解しても、モチベーションの維持が難しいと感じてしまうのですが、何か良いアドバイスはないでしょうか?
小松先生
確かに、モチベーションの維持は患者さんにとって大きな課題です。私からのアドバイスとして、まずはご自身の「歯の価値」について、より深く知ることから始めていただきたいと思います。これはインプラントに限った話ではなく、天然歯のケアやメンテナンスにおいても重要な考え方です。
編集部
「歯の価値」について、もう少し詳しく教えてください。
小松先生
価値観というのは人によって様々ですが、1つ興味深い例があります。日本では過去の裁判で、1本の歯を失った場合の損害賠償として「150万円」という判決が出された事例があります。これを上下左右28本の歯に換算すると、私たちの口の中には実に4200万円の財産が詰まっていることになるわけです。しかし、天然歯にそれほどの価値があるということはあまり知られていませんし、それを意識して生活している人もほとんどいないと思います。
編集部
確かに、自分のお口にそれほどの価値があると意識すれば、モチベーション維持にもつながりそうです。
小松先生
自身の歯の本来の価値を理解すれば、ケアやメンテナンスも「面倒なこと」ではなく、将来に向けた大切な「自己投資」ととらえることができると思います。このような意識を持つことが、長期的なモチベーション維持のカギと言えるでしょう。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
小松先生
今回はインプラントのケアを中心にお話ししましたが、「インプラントを入れたからケアが必要」というわけではありません。自分の歯でもインプラントでも、セルフケアと定期メンテナンスは生涯にわたって継続していく必要があります。私たち歯科医が普段、口腔ケアの重要性を強調してお伝えするのも、それを無理強いしたいわけでなく「これ以上、歯を失ってほしくない」という想いからです。この記事をきっかけに、ぜひご自身の歯の価値について考え、積極的に口腔ケアに取り組んでいただきたいと思います。
※この記事はMedical DOCにて<歯のインプラントを長期維持するコツ 歯科医が教える正しいケアとメンテナンス>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

