血圧が高いと診断された場合に気をつけたい病気・疾患とは？メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血圧を下げる飲み物」はご存知ですか？血圧を下げる予防法も医師が解説！』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師：
伊藤 陽子（医師）
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
血圧とは？
血圧とは心臓から送り出された血液が血管の内側にかかる圧力のことです。心臓は収縮と弛緩を繰り返し、血液を全身に巡らせて酸素や栄養素を届けています。
一般的に上の血圧と呼ばれる収縮期血圧(最高血圧)とは、心臓が収縮して血液を送り出す時の血圧です。下の血圧と呼ばれる拡張期血圧(最低血圧)は、血液が心臓に戻ってきて心臓が拡張している時の血圧です。
血圧を左右する要因として心拍出量(心臓から押し出される血液の量)や血管の弾力性などがあります。腎臓病・睡眠時無呼吸症候群などの病気や食塩の過剰摂取・過剰飲酒・肥満なども血圧に影響します。
血圧が高いとどうなる？
血圧が診察室で収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
血圧は、高くても多くの場合は、自覚症状は現れません。血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進行し、脳・心臓・腎臓・眼などの臓器に合併症が起こりやすくなります。
早朝の頭痛・夜間の頻尿・下肢の冷感などの症状が現れると、高血圧による合併症が進んでいる可能性が高いです。
急激な高血圧が起こり頭痛・吐き気・意識障害などの症状が現れた場合は、高血圧脳症の疑いがあるため、早急に治療が必要になります。
健康診断･血液検査で「血圧が高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「血圧が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高血圧
高血圧とは血圧が高い状態が慢性的に続く状態です。診察室において収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上で高血圧と診断されます。
原因は遺伝・加齢・食事や生活習慣・ストレスや睡眠不足などです。
症状が現れることは少なく、気づかない間に動脈硬化を進行させ、脳卒中・心疾患・腎臓病などの合併症を起こすリスク因子です。
治療は減塩・肥満の解消・節酒などの食事療法や禁煙・運動など生活習慣を改善することで降圧効果が期待できます。食事や生活習慣を修正しても十分な降圧効果がない場合や、合併症の有無など必要に応じて薬物療法を行います。
高血圧を指摘されたり、家庭での血圧が繰り返し高い状態が続く場合は早めに内科を受診しましょう。
動脈硬化
動脈硬化とは高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や加齢や喫煙などが原因で、血管の弾力が低下し、血管の内膜が厚くなり血管内が狭くなった状態です。
動脈硬化が進行すると脳卒中・狭心症などの心疾患・腎臓病などを発症する原因になります。
動脈硬化の原因となる生活習慣の改善や生活習慣病の治療をし、進行を抑制しましょう。
健康診断などで高血圧などの生活習慣病を指摘されたら、早めに一般内科を受診することが大切です。
慢性腎臓病
腎臓の機能の低下や尿たんぱくが3ヶ月以上持続した状態で慢性腎臓病と診断されます。
慢性腎臓病は動脈硬化・脳卒中・心疾患の発症リスクになります。
腎臓の機能低下の主な原因は高血圧・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病や喫煙などです。
主な治療は減塩や個々に応じたエネルギー・たんぱく質の摂取などの食事療法や生活習慣の改善と薬物療法です。
高血圧や腎機能の低下を指摘されたり、むくみ・貧血・倦怠感・夜間尿などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。
脳卒中
脳卒中は高血圧や動脈硬化が主な原因です。脳梗塞・脳出血・くも膜下出血が脳卒中に含まれます。脳梗塞は脳の血管が詰まること、脳出血・くも膜下出血は脳の血管が破れることによって起こります。いずれの病気も脳に障害を与える病気です。
多くの場合、発症すると半身の麻痺や言語障害や意識障害など障害された脳の部位に関連した症状が現れます。
予防は高血圧など生活習慣病の治療をして、動脈硬化の進行を抑制することや禁煙・節酒など生活習慣の改善です。
半身のまひやしびれ・ろれつが回らない・立てないなどの症状があれば早急に救急要請をしましょう。
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、高血圧・メタボリックシンドローム・喫煙などが原因で動脈硬化が進行し、心臓に障害が起こる病気です。
心臓の血管が狭くなり、血流が悪くなった状態が狭心症、心臓の血管に血栓が詰まり、心臓に血液が十分に届かなくなり、心臓の細胞の壊死が起こった状態が心筋梗塞です。
狭心症は数分以内におさまる胸の痛み、心筋梗塞は胸の激痛・吐き気・呼吸困難などの症状が現れます。
高血圧などの生活習慣病の治療をして、動脈硬化の進行を抑制することや禁煙など生活習慣を改善することが虚血性心疾患の予防につながります。
10分以上続く激しい胸痛や呼吸困難、吐き気、冷や汗などの心筋梗塞を疑う症状の場合は早急に救急要請をしましょう。
