
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
血便の概要
血便とは、便に血液が混ざった状態で排泄されることで、主に痔や消化管からの出血が原因で起こります。一口に血便と言っても鮮血便や黒色便、ドロドロしたタール便など、出血している部位によって便の色や状態が異なります。
血便の原因となる消化器疾患には大腸癌や潰瘍性大腸炎をはじめとする重大な病気もあり、命に関わる場合もあります。「血便の原因は痔だろう」「すぐに血便が収まったから心配ないだろう」などと自己判断して放置するのは危険です。血便が見られたり健診の便潜血検査で陽性が出たりした場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。
血便の原因を特定するためには、血液検査や内視鏡検査、CT検査などの検査が行われます。早期発見し、早期に治療を開始することで完治・改善につながります。
またストレスや食生活の乱れなどから過敏性腸症候群を発症し、下痢や便秘が続くことで切れ痔やいぼ痔を発症し、血便を起こすこともありますし、胃や十二指腸に潰瘍ができれば血便につながることもあります。ストレス解消法や生活習慣の見直しなど少しずつ工夫して、血便となる疾患のリスクをできるだけ取り除きましょう。

血便の原因
血便の主な原因は、「痔」あるいは「消化管からの出血」です。
便に血液が混じっていると一般的には血便と言いますが、血便は出血部位によって色や状態が異なります。
痔:鮮血便(鮮やかな赤い血が混じった便)
痔核(いぼ痔)では排便の刺激で肛門のいぼの部分が出血し、裂肛(切れ痔)では硬い便により肛門が切れて出血します。鮮血便(濁りのない真っ赤な血が混じった便)が出ます。いわゆる「血便」で最も多い原因と言われています。ただし、痔ではなく大腸の出血でも鮮血便となることがあります。
上部消化管からの出血:黒色便(タール便)
胃や十二指腸、空腸など上部消化管からの出血があると、胃酸の作用で血液の成分が酸化して黒くなるため黒色便(ドロドロしたタール便が代表的)が出ます。胃潰瘍、十二指腸潰瘍の他、胃・十二指腸・膵臓などの癌などが原因となる場合もあります。
下部消化管からの出血:鮮血便・暗赤色便
下部消化管から出血があると、鮮血便や暗赤色便が出ます。肛門や直腸から出血している場合は鮮血便、大腸や回腸からの出血がある場合は暗赤色便です。憩室出血(最多)、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸癌、小腸腫瘍などがあります。

