「インフルエンザによる出勤停止期間」はご存知ですか?【医師監修】

「インフルエンザによる出勤停止期間」はご存知ですか?【医師監修】

季節性インフルエンザは日本では毎年年末から流行し始め、1月下旬~2月にかけてピークを迎えます。いったん流行が始まると短期間に多くの人に感染するのが特徴です。

インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、構造の違いにより大きくA型・B型・C型の3種に分かれます。このうち大きな流行の原因となるのはA型とB型です。

さらにA型は構造の違いにより多数に分かれ、近年は鳥インフルエンザなどの新型インフルエンザが猛威を振るっています。

インフルエンザと風邪は症状が似ていますが症状がより強く、感染力が高いのがインフルエンザの特徴です。そのためインフルエンザによる出勤停止期間を設けている会社もあります。

この記事ではインフルエンザによる出勤停止期間などを解説します。

発症してから対策を取っても間に合いませんので、事前のご参考にして頂ければ幸いです。

※この記事はメディカルドックにて『「インフルエンザによる出勤停止期間」はご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

五藤 良将

監修医師:
五藤 良将(医師)

防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

インフルエンザによる出勤停止期間や家族が感染した場合の対応

外出自粛のため家族で家の中で過ごしている

インフルエンザによる出勤停止期間は法律で規定されていますか?

労働安全衛生法第68条によると、事業者は伝染性の疾病そのほかの疾病で厚生労働省令で定めるものにかかった労働者は、厚生労働省令で定めるところによりその就業を禁止しなければならないとされています。一方で何日間休まなければいけない明確な規定は法律上ありません。しかし会社の立場で見るとインフルエンザに感染している従業員を無条件で出社させると、ほかの従業員が感染する危険性もあり好ましくありません。そのため職場の就業規則にそういった規定があるケースが一般的に必要です。職場に規定がない場合は上司と相談して出勤のタイミングを決める必要があります。

インフルエンザにかかったら何日くらい会社を休んだ方がよいですか?

労働安全衛生法第68条にはインフルエンザにかかった場合の出社停止期間は定められていません。そのため学校保健安全法で定められた出席停止期間を代用する方法が一般的です。学校保健安全法ではインフルエンザに罹った場合、待機期間は発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでとされています。インフルエンザの発症とは感染した日ではなく、症状を自覚した日になります。ただし学校保健安全法と同様に、医師が病状から感染のおそれがないと判断した場合はこれより早い時期でも出社は可能です。また就業規則によって待機期間が定められている場合があり、そのときは就業規則を優先します。

症状が落ち着いても就業規則で定められた出勤停止期間中は休むべきですか?

一般的にインフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。排出されるウイルスの量は解熱と共に減少しますが、減少量や排出期間には個人差があります。そのため仮に症状が落ち着いた後でも周囲に感染させるリスクは少なくありません。一方で会社によっては発症後48時間以内であっても、例外的に医師の許可があった場合は出勤を可能とする就業規則を設けているケースもあります。結局のところ業務の忙しさや状況によっても変わってしまうので、ケースバイケースです。出勤停止期間中に出勤を希望するときは事前に上司に相談して許可を取るなどした上で、マスクなど感染拡大防止のための対策を十分行うことが必要です。

家族がインフルエンザに感染した場合、会社を休むべきですか?

家族がインフルエンザに感染した場合でも、一般的に会社を休む必要はありません。ただし感染の危険性はあるので、出勤前に検温など健康状態のチェックをするなど対策は必要です。咳やのどの痛みなどの症状があるようならマスクをして対策をしたり、上司に相談して医療機関で受診してから出社したりなど相手に対する気遣いも必要です。また逆に家族の病状がひどく、看病のため休みたい場合もあるでしょう。この場合に会社が休ませない指示もできませんので、有給休暇を消化して休みを取ることも可能です。

編集部まとめ

マスクをした若い女性
インフルエンザにかかると健康面のみならず仕事面・金銭面にも少なからず影響が出てしまいます。

また、自身だけでなく周囲に対しての迷惑にもなります。かからないのが一番ですが、病気である以上、完璧な予防は不可能です。

かかってしまった際には少しでも悪い影響が減らせるように、事前から対処法を学んでおきましょう。

参考文献

令和6年度インフルエンザQ&A(厚生労働省)

協会けんぽ Beginner’s Guide

コロナウイルスとインフルエンザの違いについて

病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

配信元: Medical DOC

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