「腹膜播種の先進治療」はご存じですか?放置した際に現れる症状も医師が解説!

「腹膜播種の先進治療」はご存じですか?放置した際に現れる症状も医師が解説!

がんの種類別|腹膜播種の先進治療

がんの種類別|腹膜播種の先進治療

腹膜播種に対しては、全身化学療法や、手術との併用が標準的な治療ですが、効果が十分でないこともあります。
このため、近年は腹腔内に直接薬剤を投与する腹腔内化学療法など、新たな治療法の研究が進められています。
一部は先進医療として提供されることがありますが、効果や安全性はまだ確立されておらず、公的保険の適用外のため自己負担になる点に注意が必要です。なお、加入している保険によっては先進医療を補償する場合もあるため、事前に確認するとよいでしょう。

胃がん

胃がんの腹膜播種に対しては、S-1内服に加え、パクリタキセルを静脈内(点滴)と腹腔内の両方に投与する併用療法や、パクリタキセルの反復腹腔内投与が先進医療として実施されています。

大腸がん

現時点では、大腸がんの腹膜播種に対する先進医療として実施されている治療法は特にありません。
海外の専門施設では、完全減量手術(CRS)と腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の組み合わせが行われており、良好な成績も報告されていますが、日本ではまだ研究段階です。

卵巣がん

上皮性卵巣がんや卵管がん、原発性腹膜がんに対して、パクリタキセル静脈内投与とカルボプラチン腹腔内投与の併用療法が行われる場合があります。

膵臓がん

膵臓がんでは、ゲムシタビンやnab-パクリタキセルの静脈投与と、パクリタキセルの腹腔内投与の組み合わせや、S-1の内服+腹腔内投与が研究段階で行われています。標準治療には含まれませんが、腹膜播種による腹水制御に有効な可能性があります。

肝臓がん

肝臓がんの腹膜播種に対する先進医療として、現時点では国内で確立された治療法はありません。

腹膜播種を治療しない場合に起きること

腹膜播種を治療しない場合に起きること

腹膜播種が進行すると、大量の腹水(がん性腹水)がたまり、腸や尿管、胆管などの管状臓器が圧迫されて通過障害を起こす可能性があります。これががん性腹膜炎と呼ばれる状態です。
主な症状としては、次のようなものが挙げられます。

腹部の張り(膨満感)

食欲の低下

腹痛

吐き気・嘔吐

黄疸

発熱

これらの症状に対しては対症療法が行われます。
腹水の貯留には、腹水穿刺や利尿薬の使用、腹水濾過濃縮再静注法(CART)が検討されます。腸の通過障害にはバイパス術、人工肛門造設、胃ろう造設、ステント留置などが用いられます。また、水腎症には尿管ステントや腎ろう造設、胆道閉塞には胆管ステントの留置が必要となることもあります。

配信元: Medical DOC

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