香川県観音寺市に本社を置き、香川県を中心に和食店を展開する遊食房屋は、讃岐うどんの製造過程で生じる廃材を活用し育てた新食材「讃岐うどん雲丹」を開発した。10月20日(月)より、毎日10食限定で、遊食房屋丸亀店にて提供している。
藻場再生と資源循環の両立を目指し社会課題を解決
讃岐うどん雲丹Labo(養殖場)の様子
香川県多度津町で生まれた「讃岐うどん雲丹」は、地元の高校・企業・大学・行政が連携し、食と海の循環をテーマ誕生した、香川発のサステナブルフードプロジェクトだ。
2023年、多度津高校海洋生産科と遊食房屋による「讃岐うどん製造の過程で発生する“ゆでこぼし”や“余剰うどん”を冷凍保存し、ムラサキウニの餌として再利用できないか」という循環型のアイデアから始まった。
海底の雲丹の様子
瀬戸内海では、ムラサキウニが海藻を食い荒らすことで藻場が消失し、魚介類の生息環境が失われる「磯焼け」現象が深刻化している。庵治漁業協同組合の協力のもと、駆除対象だったムラサキウニを飼育用として再活用し、多度津高校や「讃岐うどん雲丹Labo」で養殖することで、海洋環境保全と食品廃棄物の再活用という二つの社会課題を同時に解決することを目的とし、藻場再生と資源循環の両立を目指す。
地元の高校・企業・大学・行政が連携して開発
多度津高校 栽培漁業実習場の様子
2024年4月から、多度津高校と遊食房屋の共同による陸上養殖実験がスタートした。庵治漁協の協力で、磯焼け防止のために駆除されたムラサキウニを飼育用個体として活用。高校生が給餌管理を担当し、うどんだけではなく、給餌は昆布・イリコなど、さまざまな材料で比較し実験を重ねた。
多度津高校 栽培漁業実習場の様子
結果的に廃棄うどんを冷凍保存し、ウニの餌として再利用する独自手法を確立。この取り組みは香川県水産課や大学とも連携し、2024年11月には味や品質の実験を実施。ウニの成長速度・色味・甘みなど、商品化へのデータを蓄積した。
讃岐うどん雲丹Labo(養殖場)の様子
今年4月、遊食房屋は研究・商品開発の拠点として「讃岐うどん雲丹Labo」を設立。養殖技術・品質基準の確立、メニュー開発などを進めている。Laboは高校の栽培漁業実習場から徒歩2〜3分の距離にあり、日常的に共同研究・教育の場として機能している。
