
草なぎ剛が主演を務めるドラマ「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FOD・TVerにて配信)の第2話が10月20日に放送された。主人公の樹(草なぎ)の遺品整理という仕事は死と向き合うもの。そんな中で描かれた、生前整理の依頼人の言葉が印象的だった。(以下、ネタバレを含みます)
■遺品を通して家族や人生を向き合うヒューマンドラマ
本作は、妻を亡くし、シングルファーザーとして生きる鳥飼樹(草なぎ)が、遺品整理会社「Heaven’s messenger」の仲間たちとともに、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添っていく、心温まるヒューマンドラマ。
遺品に刻まれた残された者へのメッセージを解き明かすほか、切ない大人の恋も描かれる。
手広く事業を展開する御厨ホールディングス次期社長の妻で絵本作家の真琴を中村ゆり、「Heaven’s messenger」の新人遺品整理人・久米ゆずはを八木莉可子、現場歴10年のベテラン遺品整理人・矢作海斗を塩野瑛久、社長・磯部豊春を中村雅俊、真琴の母で生前整理を依頼する鮎川こはるを風吹ジュンが演じる。
■樹は生前整理を依頼されたこはると昼ご飯を食べる
余命3カ月の宣告を受け「Heaven’s messenger」に生前整理を依頼したこはるの見積もりを担当した樹。結婚して家を出ているこはるの娘・真琴は、その事情を知らされておらず、また、樹が突然目の前で涙したことを不審に思い、母が悪徳遺品整理業者にだまされているのではないかと疑いを抱く。
そんな娘の心配をよそに、こはるは樹に全幅の信頼を置いていて、見積もり結果を持参した樹と公園で一緒に昼ご飯を食べることに。
そこでのこはるの言葉が印象的だった。
■妻の死に何かできたのではと後悔する樹にこはるが掛けた言葉とは?
こはるから余命のことは内緒にするように頼まれている樹だが、自分が妻に先立たれたとき、うつのような状態になったことから、真琴のことを人ごととは思えないと案じていた。
妻の病の予兆に気付いていたら何かできたんじゃないか。今もそう思う樹に、こはるは「きっと気付いていたとしても何もできなかったと思うわ」と言う。
そして、「死ぬってことは、その人だけのもので、親子でも夫婦でも、誰とも共有できないものだから」と続けた。
このせりふにSNSには「本当にその通り」「深い」「心にズシンとくる」などの反響があった。人は誰でも死ぬ。しかし、1人の死は共有できるものではない。だからこそ、残された者が分かりえない思いもあるのだ。
第2話では、木村遼太(西垣匠)が亡くなった父の遺品の中から妹・里菜(山下愛織)に約束していた留学費用700万円を見つけてほしいとの依頼で、支払期限が迫っていることもあったのだろう、里菜がゆずはたちに攻撃的になってしまう様子が描かれた。
別れて暮らすようになってから父の事業がうまくいってなかったと知った遼太は、お金が用意できていなかったのではと思っていたようだが、父を信じて疑わない妹のために依頼していた。「巻き込んですみません」と頭を下げる遼太に、「妹さんの気が済むまでお付き合いしますよ」と答えた樹。共有できない死に突如向き合うことになった残された者に寄り添う姿はどこまでも優しい。
そんな樹は、ラストで真琴から不安な気持ちをぶつけられた。図らずも板挟みになってしまった樹の様子に苦しくなってしまうが、知らないうちに共有できない死が近づく真琴に樹はどう寄り添うのか、注目していきたい。
※草なぎ剛の「なぎ」は、「弓へんに前の旧字体その下に刀」が正式表記
◆文=ザテレビジョンドラマ部

