薄毛が気になる部分に自分の髪の毛を移植する「自毛植毛手術」。毛包の採取方法の違いにより、いくつかの方法に分類されますが、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか? 今回は植毛を受ける際に気をつけるべきこと、注意点について、東京メモリアルクリニックの藤巻先生に教えてもらいました。

監修医師:
藤巻 弘(東京メモリアルクリニック)
2012年3月北里大学医学部卒業。2014年4月東京女子医科大学形成外科入局。2021年4月より米国マサチューセッツ大学形成外科ポストドクトラルフェローを経て2023年9月東京メモリアルクリニック常勤医。日本形成外科学会専門医、医学博士、日本臨床毛髪学会評議員。
編集部
ダウンタイムはありますか?
藤巻先生
手術後、約1週間程度はむくみや滲出液(傷を修復するために分泌される液体)が少し出ることがありますが、これは正常な経過です。また、植えた毛が抜けないよう、植毛部分は安静にする必要があります。翌日からシャワーで頭を洗うこともできます。デスクワークであれば数日で仕事に復帰される方も多くいらっしゃいます。
編集部
手術のリスクはありますか?
藤巻先生
植毛手術にも、ほかの手術と同様にリスクがあります。出血、感染、術後の痛みが起こる可能性は完全にはゼロではありませんが、適切な予防措置を取ることで、これらのリスクは最小限に抑えられます。
編集部
どれくらいの結果を期待することができるのですか?
藤巻先生
手術の結果については、個人差があることを理解しておくことが重要です。どんなに優れた技術で手術を行っても、皮膚の状態などにより、全ての毛髪が完全に生着するわけではありません。移植した毛は1〜3ヶ月後に一度抜け落ち、その後再び生え始めます。そのため、術後6ヶ月の時点では一時的に元の状態に戻ったように見える場合もあります。最終的な結果が表れるのは、術後約1年程度経ってからです。
編集部
効果が出るまで、長い時間がかかるのですね。
藤巻先生
はい。術後、移植された毛根は温存されており、多くの場合、時間とともに再び生えてきます。したがって長期的な視点を持ち、定期的に受診して経過を見ていくことが大切です。また、採取部分が過度に透けたり、傷跡が目立ったりするリスクもありますが、適切な技術を持つ医師が手術を行えば、これらのリスクも最小限に抑えることができます。植毛の効果を最大限に引き出し、リスクを軽減するためには、経験豊富な医師による施術と、患者さん自身による適切なアフターケア、そして定期的な経過観察が不可欠です。
編集部
手術の技術に違いはありますか?
藤巻先生
はい、手術の技術には大きな違いがあります。クリニックや医師によって、採取率、移植方法、移植部の密度、移植毛の角度、デザインなど、全ての面で技術の差が現れます。これらの技術を熟知した医師による施術で、最良の結果が得られる可能性が高くなります。
編集部
クリニックを選ぶポイントはありますか?
藤巻先生
植毛手術は決して簡単な手術ではありません。一部のクリニックでは手術の一部の工程しか医師が関与せず、残りの作業を医師でないほかのスタッフが行っているケースもあります。これは望ましくない状況です。そのため、植毛手術を検討する際は、全ての工程に医師が責任を持ち、高い技術を持つ信頼できるクリニックで受けることをおすすめします。適切な技術と経験を持つ医師による施術は、より自然で満足度の高い結果につながる可能性が高くなります。
編集部
最後にメッセージをお願いします。
藤巻先生
AGAの治療は自由診療であり、不当に高額な処置や根拠のない治療により、不利益を被っている患者さんが多く見受けられます。正しい治療法を適切な費用で提供する信頼できる医療機関を選びましょう。
※この記事はMedical DOCにて<植毛の基礎知識 手術法の違いとメリット・デメリット 結果が表れるまでの期間とは?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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