「多臓器不全(MOF)の治療成功率」はどのくらいかご存じですか?医師が監修!

「多臓器不全(MOF)の治療成功率」はどのくらいかご存じですか?医師が監修!

多臓器不全(MOF)は事故や怪我などによる外傷・感染症・悪性腫瘍などが原因で、身体の主要な複数の臓器の機能が保てなくなった状態のことをいいます。

発症の部位や程度にもよりますが、治療に緊急性を要する場合が多い症候群です。

しかし発症の原因はさまざまで、具体的な兆候を早期に発見することが大切です。

そこで本記事では多臓器不全(MOF)とはどのような病気なのか、治療の際注意すべき点を紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「多臓器不全(MOF)」になると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

多臓器不全(MOF)治療時の注意点

検査中

障害が残りやすいと聞きました。

各臓器に対する治療を行い、症状の経過を観察し改善に向かう事例もありますが、後遺症など障害が残る可能性があります。脳では麻痺などの後遺症が残る場合や、心筋梗塞であれば心不全により運動範囲が狭まるなど臓器による後遺症が異なる点も注意が必要です。

どれくらいの確率で治療が成功しますか?

多臓器不全の重症と併せ原因となる病気の治療、経過により異なりますが、死亡率は30〜80%と非常に高い確率となります。また、急死の原因となる場合もあり、早急な治療と早期発見が非常に重要といえるでしょう。

多臓器不全(MOF)の予防にはどんなことがありますか?

多臓器不全の要因防止では、原因となる病気や怪我を防ぐことが大切です。突発的な外傷・熱傷については注意をするなど、ある程度未然に防ぐこともできます。
一方感染症については、日頃の食生活や睡眠を摂り免疫力・抵抗力をつけておく必要があります。膵炎・肝炎の予防では食事での脂質の制限・禁酒などが効果的です。まずは日々の健康・体調管理を心掛けるようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

多臓器不全は、程度や症状により治療方法も異なるため臓器ごとの治療を同時に行う必要があります。
とくに血液の循環と免疫に関する治療については緊急性を要する場合も多いため、身体に異常を感じた場合は速やかに医師の診療を受けるよう心掛けましょう。

編集部まとめ

触診
今回は、多臓器不全(MOF)とはどのような病気なのか、発生の原因・症状・治療の際注意すべき点を紹介しました。

身体の主要な臓器の働きが低下する多機能不全は、原因となる怪我や病気の治療も含めた集中かつ緊急性を要する症候群であることを解説しました。

息苦しさや眩暈・身体の不調を感じた際は、精密検査を受け早期発見に繋がるよう受診をお勧めします。

参考文献

多臓器不全における臓器連関(日本内科学会)

配信元: Medical DOC

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