子どもの幸せと私の葛藤
「分かった!ならもう、全部言ってくるね?保育園に言ってくるから!」
込み上げる涙を堪えながら、怒りに任せて吐きつけた言葉。必死の思いにも夫は依然としてこちらに目もくれず、ゆっくりコーヒーを口に運ぶ。そして深いため息をひとつ吐いて答える。
「バレる覚悟で浮気したから、いいよ。別に」
夫の目や声色が、私に対する鬱陶しさを滲ませていた。夫との熱量の違いにやるせなさが募った私は、力無く子どもを送りに保育園へと向かった。
「ねぇー、きょうはなんで、じてんしゃのらないのー?」
「えっ?……ママ今日ちょっと、歩きたい気分なんだ!」
夫から吐かれた冷たい言葉と態度に、私は心底疲れてしまった。
「……君と別れる」
ならいっそ、離婚してしまおうか……。そんな考えさえ頭を過った。でもそうしたら、今目の前のこの子たちはどうなるんだろう?淋しい思いはさせたくない。子どもたちには父親が必要。そのためなら、多少私が傷ついたって……。
ズキズキと痛む心は、子どもたちの幸せを願う気持ちと私の傷つきが葛藤した、複雑な感情で満ちていた。
あとがき:切り捨てられた妻の孤独と葛藤
夫の口から突きつけられた「君と別れる」という言葉。その冷たさと無関心は、彩乃を一層孤独へと追い込みました。子どもたちの前では必死に笑顔を取り繕っても、心は崩れ落ちそうで、父親を必要とする姿を見るほど胸が痛みます。裏切りへの怒りと、子どもたちの幸せを守りたいという思い。その狭間で揺れる彼女の決断は、容易には出せませんでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

