タバコを吸っている方のアフターメンテナンス

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ケア項目 ポイント
丁寧な歯磨き
インプラント周囲も含めて正しく歯磨き
歯茎との境目や人工歯の裏側も行う
喫煙後は水うがいや軽い歯磨きで汚れを残さないようにする
補助清掃の活用
デンタルフロス・歯間ブラシを使用する
インプラントと歯茎の間のプラーク除去を行う
ウォーターピックで歯周ポケット内の汚れを洗浄する
洗口・保湿
喫煙後は水や洗口液でお口をすすぎ、ヤニや有害物質を減らす
唾液分泌が減りやすいため、こまめな水分補給で口腔内の潤いを維持する
定期的な受診
歯科医院での定期検診あるいはクリーニングを必ず受ける
自宅で落とせないヤニや歯石を除去する
インプラント周囲の炎症や緩みを確認する
オールオン4の治療後に喫煙を継続している場合は、どの程度の頻度で通院すればよいですか? 喫煙者の方は、非喫煙者よりも短いサイクルで定期検診に通いましょう。一般的にインプラント治療後の定期メインテナンスは年2回程度が目安ですが、喫煙を継続する場合はそれでは不十分です。少なくとも3〜4ヶ月に1度は歯科医院で検査とクリーニングを受けましょう。これはインプラント周囲の清掃やレントゲンによる骨状態の確認をこまめに行い、異常の早期発見や早期対応を図るためです。担当医と相談のうえ、自身の口腔内リスクに見合った適切な来院頻度を設定するとよいでしょう。
なお、定期検診ではインプラントだけでなく残存歯や口腔粘膜のチェックも同時に行われます。喫煙者は歯周病や口腔がんのリスクも上がるため、そうした疾患の予防という観点からも定期的な受診はとても重要です。
編集部まとめ

タバコを吸っていてもオールオン4の治療自体は受けられますが、喫煙は手術の成功率や治療後の予後を悪化させる要因であることがわかっています。そのため、できる限り早い段階で禁煙するようにしましょう。
どうしても禁煙が難しい場合でも、せめて手術前後の一定期間は喫煙を控え、口腔ケアの徹底と通常以上の頻度での通院によってリスクを管理する必要があります。治療後に喫煙を続ければ、人工歯の着色やインプラントの寿命短縮などデメリットが大きいため、オールオン4にしたのにまた歯を失うという事態につながります。オールオン4は高価な治療であり長く快適に使い続けることが望ましいので、この機会にぜひ禁煙に挑戦し、大切な歯と健康を守っていきましょう。
参考文献
『A meta-analysis evaluating the risk for implant failure in patients who smoke』( PubMed)
『Association between smoking and peri‐implant diseases: A retrospective study – Martinez‐Amargant – 2023』(Clinical Oral Implants Research – Wiley Online Library)
『プログラム|ニコチン代替療法』(最新たばこ情報)
『Smoking can cause implants to fail』(British Dental Journal)
『各種資料(口腔・消化器疾患)』(日本禁煙推進医師歯科医師連盟)
この記事の監修歯科医師
松浦 明歯科医師(医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック)
出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:1989年福岡歯科大学 卒業1991年松浦明歯科医院 開院2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任 / 資格:厚生労働省認定研修指導医日本口腔インプラント学会認定医ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医 / 所属学会:ICOI(国際口腔インプラント学会)日本口腔インプラント学会日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事日本顎咬合学会 会員 日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員
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