●これまでの実例
この人権救済制度は、組織の不当な判断や差別的な取り扱いを是正するために、これまでも実際に使われています。
実例1:障害を理由とする大学教員への不当な取り扱い(2025年5月14日公表)
視覚障害のある大学教員が、大学側から障害を理由として、授業を割り当てられないなどの不当な差別的取扱いを受けたとして、人権救済を申し立てました。日弁連は調査の結果、大学の対応に問題があったとして、大学に対して「警告」や「要望」を出しました。
なお、大学側は2025年度後期から申立人に授業を割り当てたと主張しているようです。
実例2:私企業ウェブサイトでのヘイトスピーチ(2022年3月28日公表)
私企業が運営するウェブサイトに、同社のCEOの名義で特定の民族への差別的な言動(ヘイトスピーチ)が掲載されたことに対し、人権救済が申し立てられました。日弁連は、ヘイトスピーチを放置したことは人権侵害であるとして、私企業に対して「警告」を行いました。
その後、日弁連は改善状況等について会社と当時の代表取締役に照会を行ったそうですが、現時点(2025年10月23日現在)では回答は得られていないようです。
国分さんの申立ては、日弁連の判断という公的な評価を得ることで、テレビ局の対応の是非を問い、社会に問題を提起する、一歩と言えるでしょう。
(弁護士ドットコムニュース・弁護士/小倉匡洋)

