取引先のカスハラで精神疾患 男性の遺族「不当要求を放置した」勤務していた会社を提訴

取引先のカスハラで精神疾患 男性の遺族「不当要求を放置した」勤務していた会社を提訴

●原告「会社は安全配慮義務に違反した」と主張

訴状によると、原告側は、使用者は労働者の心身の健康を損なわないよう注意する義務を負っているとした上で、被告の会社は顧客からの不当な要求を認識しながら、応援体制の確立や責任の分散といった必要な支援や協力について定めたルールの策定や周知を怠り、和明さん1人に対応を任せたとして、安全配慮義務に違反すると主張している。

また、損害賠償請求権の消滅時効について、原告側は、後遺障害の存在を現実に認識して賠償請求が可能となった症状の固定日(2023年1月29日)まで損害の全てを知ることはできなかったとして、この日から時効が進行するため時効は成立していないとうったえている。

●被告の会社「訴状の内容を検討し適切に対応したい」

原告の弁護団は、カスハラへの組織対応の重要性を広く知ってほしいとして、提訴後に東京都の厚生労働省で記者会見を開いた。

和明さんの妻で原告の深雪さんは「この悲劇を公にすることで、全ての企業が職場の安全とメンタルヘルスケアを最優先する意識改革につながることを心から望みます」と話した。

被告の会社側は弁護士ドットコムニュースの取材に、次のように回答した。

「現時点では当社に訴状が届いておりませんので、訴状を受領次第、内容を検討し、適切に対応してまいりたい」

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