空腹時の胃痛は胃がんを疑った方がいい?メディカルドック監修医が胃がんを発症すると空腹時に胃痛を感じる原因・初期症状・なりやすい人の特徴・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
「胃がん」とは?
胃がんは、胃の壁の一番内側にある「粘膜」という層の細胞が、何らかの理由でがん細胞に変わり、無秩序に増え続けてしまう病気です。胃の壁は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という層構造になっています。がんはまず粘膜で発生し、進行するにつれて外側の層へと深く広がっていく(浸潤する)と考えられています。また、胃の近くにあるリンパ節や、血液の流れに乗って肝臓や肺など他の臓器に転移することも少なくありません。日本では、早期発見・早期治療によって高い確率で治癒が期待できるがんの一つとしても知られています。
空腹時の胃痛は胃がんを疑った方がいい?
「お腹が空くと胃がしくしく痛む」という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。このような空腹時の胃痛は、胃がんを直接的に疑う特徴的な症状とは言えない場合が多いです。むしろ、胃酸の分泌が多くなることで胃や十二指腸の粘膜が刺激されて起こる「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」でよく見られる症状と考えられています。
しかし、胃がんの可能性が全くないわけではありません。胃がんが進行して表面に潰瘍ができると、それが胃酸によって刺激され、空腹時に痛みを感じることもあります。そのため、「空腹時の胃痛はがんではない」と自己判断してしまうのは危険です。特に、市販の胃薬を飲んでも症状が改善しない、痛みが続く、あるいは悪化するといった場合には、消化器内科などの専門医に相談することが非常に重要です。

