刺すような痛みが指の第一関節に走り、関節が膨らみ触ると硬いこぶ状のものがある、この症状はへバーデン結節かもしれません。
へバーデン結節はリウマチではなく、指の第一関節の甲側に痛みと結節を伴い発症します。
名前はこの症例を最初に報告したへバーデン医師に由来しますが、「指まがり症」と呼ばれることもあります。
50歳以上の女性で手指を酷使する方に多く発症するといわれる症状ですが、原因の解明には至っていません。また遺伝の可能性も言及されますが、立証はされていません。
ここでは症状や原因について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「へバーデン結節の原因」はご存知ですか?症状や何科を受診するべきかも解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
松繁 治(医師)
岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科
主な研究内容・論文
ガイドワイヤーを用いない経皮的椎弓根スクリュー(PPS)刺入法とその長期成績
著書
保有免許・資格
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
へバーデン結節の原因や症状

へバーデン結節の原因を教えてください。
はっきりした原因は解明されていません。手指を酷使する50代以上の女性に多く発生しています。手が酷使される場面はさまざまです。料理や掃除など日常の家事によるもの、キーボードタイピングやネイリストなど仕事によるものなどがあります。50代以上の女性に見られることから、更年期の女性ホルモン分泌量と関節変化を結び付けている見解もあります。遺伝的要因の可能性も示唆されていますが、立証はされていません。
どのような症状が出ますか?
進行状況により症状が異なります。下記のすべての症状が発生するとは限りません。痛みは関節の曲げ伸ばしに関わらず、平時でも発生することがあります。第一関節がチクチクと刺すような痛み
指が曲げにくくなる
痛みのある関節が腫れる
腫れた関節に結節ができる
結節に水ぶくれ状のもの(ミューカスシスト)ができる
結節ができた関節が変形する
痛みの減少
痛みの程度や感じ方は一様にはいえませんが、チクチクと刺すような痛みに感じる方もいるようです。指が内側に曲げにくくなり、手を握ると違和感を感じるようになります。関節の左右外側が腫れてくると目視でわかるので、この時期に診察を受ける方もいます。さらに進むと、指の甲側や左右横側が膨らみ硬くこぶ状になっていきますが、これが結節です。結節は指を伸ばす腱や側副靭帯付近で、余分な骨のとげができて、硬くなって出っ張ったものをいいます。目視でわかるほか、第一関節を触るとコリコリした固めのものが認められるようになります。結節に水ぶくれ状のもの(ミューカスシスト)ができることもありますが、必ずできるとは限りません。衛生状態が悪い状況で水ぶくれ状のものが破れると、細菌感染による化膿性関節炎を起こすこともあるので、つぶさないように注意しましょう。結節により爪が変形する場合もあります。さらに症状が進むと、第一関節が曲がって変形し固定された状態になります。この状態までくると、痛みはほとんどなくなるようです。へバーデン結節は一本の指だけでなく、徐々にほかの指にも症状が出ることがあります。
放置してしまうと症状が進行しますか?
初期の段階で構わずに指を酷使すると、進行する可能性があります。症状があるときは早めに診察を受け、指を休め安静にすることが重要です。指を休ませる時間が取りにくいときは医師の指導のもと、テーピングで対応するようにしましょう。
へバーデン結節は遺伝しますか?
遺伝の可能性は示唆されていますが、完全に証明されてはいません。自分の親や祖母にへバーデン結節が出ているときは、体質を受け継いでいる可能性があるため、より意識的に指を酷使したら休ませる配慮は必要でしょう。
編集部まとめ

へバーデン結節は気付いたら発症していたというように、知らないうちに進行することがある病気です。原因がはっきりわかっていないため、対症療法で治療していきます。
50代以上の女性に多く発症することから、閉経後の女性ホルモン分泌量と関連性があるともいわれますが、明確にはわかっていません。
痛みは個人差があり、ペンが握れない、キーボードが叩けない程の痛みの場合は仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。
また指が変形したり曲がったりすることがあり、人前で手を出すのが恥ずかしいという方もいます。
保存療法で治療しますが、ひどい痛みや審美的な要素から手術治療も可能です。
症状が現れたら早期に整形外科で治療を受けましょう。発症後は手指を酷使しないように、疲れたら休ませテーピングで安静にすることをおすすめします。
日常生活では特に気を付けて、指関節を守るよう心がけましょう。
参考文献
へバーデン結節(日本臨床整形外科学会)
代表的な手外科疾患(日本手外科学会)
いわゆる「指曲がり症」(ヘバーデン結節)発生のメ力ニズム

