胃もたれや胃痛など、上腹部の不快感に悩まされていませんか?
胃薬を飲んでいるのに中々症状が改善しない場合、機能性ディスペプシアの恐れがあるかも知れません。
自覚症状がある病院受診者の44~53%は、この病気が発覚するといわれています。
幸い、適切な薬を飲めば治る病気となり、はやく楽になるためにもすぐに病院を受診しましょう。
治療をしないと症状は長引く傾向にあるので、何ヶ月もつらい思いをすることになるでしょう。
ここでは、機能性ディスペプシアについて詳しくご紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「機能性ディスペプシア」の自覚症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
機能性ディスペプシアの予防法

生活習慣で気をつけることはありますか?
生活習慣では、特に食生活とストレスに気をつけましょう。規則正しい生活を送り、暴飲暴食を避けることも、機能性ディスペプシアの予防に効果的です。日光を浴びる時間が少ないとセロトニンの分泌量が減り、イライラしやすくなるため、朝型生活を心がけることが大切です。自律神経が乱れると機能性ディスペプシアを発症しやすくなります。
寝不足や太陽の光を浴びない生活が続くと自律神経も不安定になりがちなので、夜型生活はできるだけ避けた方が良いでしょう。
ストレスを溜めないことも大切なのですね。
とても大切です。あまりくよくよと悩まず、ぐっすり眠るようにしましょう。嫌な出来事を経験した場合でも、前日によく眠れているかどうかで、ストレスに対する耐性に差が出ます。寝不足が続くと、ミスを連発しがちとなり、トラブルも起きやすくなる悪循環に陥ってしまいます。また、物事を意識して前向きに考えることも大事です。
ただ、精神的なストレスがかなり強い場合、ときに抗うつ剤などの薬を服用することも必要です。脳内のセロトニンが足りなくなると、ささいなことでもイライラし、ストレスも感じやすくなってしまいます。
足りないセロトニンを補う薬もあるので、自力ではどうにもならない時は薬も上手に頼りましょう。
食事の際はどのようなことに注意すればよいですか?
機能性ディスペプシアを改善・予防するための食事法では、3つのことに気をつけましょう。まず、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。次に、食べ過ぎないよう注意してください。腹八分目を意識して、お腹いっぱいになりすぎないようにします。早食いも大食いも胃に負担がかかる食べ方です。
最後に、食後の休憩も忘れないようにしましょう。食べてすぐ動くと胃によくありません。食べ終わってから30分はリラックスして過ごしてください。
胃に負担をかける脂っこい料理や激辛フード・お酒の飲みすぎを避けることも大切ですが、基本的にはこの3つの食事法を軸に食生活を整えていくと効果的です。
セルフチェック法を教えてください。
胸焼けや胃痛など上腹部の不快症状を自覚している場合、機能性ディスペプシアの可能性があります。出雲スケールなど消化器症状のセルフチェック方法は、インターネット上でも公開されているので、チェックしてみて下さい。
「胸焼けがする」・「おなかがはる」・「喉の違和感がある」など10数項目の簡単な質問に答え、点数を数えるだけで大体の可能性が分かります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
上腹部の不快症状があるなら、気のせいで済まさず、すぐに医療機関を受診しましょう。胃もたれが度々あるだけでも、食事を楽しむことができません。今は医学が進み機能性ディスペプシアのことがよく分かってきているので、専用の薬も開発され適切な治療法も色々あります。
自己判断で市販薬を飲むより、本当に必要な薬を処方してもらうと、不快症状からはやく解放される近道となります。
編集部まとめ

機能性ディスペプシアは身近な病気で、いつ誰がなってもおかしくありません。
胃もたれや胃痛など上腹部の不快症状が中々治らない、と自覚しているなら、すぐに医療機関で診てもらいましょう。
放置しても、自然によくなることはありません。病院の先生に相談することが、不快症状からはやく解放される近道になるはずです。

