掌蹠膿疱症という病気をご存じない人もいるのではないでしょうか。掌蹠膿疱症とは手のひらや足の裏などに膿疱ができる比較的稀な病気です。
明確な原因は分かっていませんが、喫煙者で中年の女性が特に発症しやすく、基本的に対症療法での治療となるため長期的に病気と付き合っていく必要があります。
症状が水足と似ており自分自身で症状を見分けることが難しいので、自己判断せず皮膚科へ早めに受診することが大切です。
本記事では、稀な病気である掌蹠膿疱症について解説するので、参考にしてください。
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※この記事はメディカルドックにて『「掌蹠膿疱症」を発症しやすい人の特徴・予防法はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
掌蹠膿疱症の予防方法

掌蹠膿疱症のやってはいけないことを教えてください。
掌蹠膿疱症で気を付けていただきたいのは、カサカサした皮膚を自分で剥がさないことです。生活するうえで皮膚がめくれ上がった状態だと衣類や布団に引っかかって動きづらいかもしれませんが、自分で剥がしてしまうと症状が悪化してしまう可能性があり、これをケブネル現象といいます。
また手のひらや足の裏に膿疱があると潰したくなるかもしれませんが、潰してしまうとさらに炎症がひどくなり、腫れや痛みを伴うこともあります。
潰れても膿疱の中に細菌やウイルスはいないので他の人へ移す心配はありませんが、清潔な状態を保つためにも日頃から保湿は心がけるようにしてください。
具体的な予防方法を教えてください。
掌蹠膿疱症の悪化因子の1つが喫煙です。発症している人の約80%は喫煙者で、禁煙することで症状の緩和が期待できます。喫煙は掌蹠膿疱症だけでなく歯周病の悪化因子でもあるので、禁煙外来を上手く利用して禁煙にチャレンジするのも良いでしょう。また、掌蹠膿疱症は自覚症状のない歯周炎や歯槽膿漏のような歯周病・扁桃炎・副鼻腔炎などを治療することで症状が改善されたり、治癒したりすることがあります。
毎日の口腔ケアだけでなく定期的な歯科検診も行い、歯を清潔に保つ意識が大事です。また元々扁桃炎や副鼻腔炎になりやすい人は、早めに医師へ伝えてください。
ほかにもストレスを溜め込むのはよくないので規則正しい生活を送り、過度の飲酒を控えましょう。骨関節炎を引き起こしている時は炎症部位を安静にすることも大切です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
掌蹠膿疱症は原因が分からないことが多い病気で、他人へ感染することはありませんが日常生活に大きな支障を及ぼします。原因が分からない場合は対症療法を続けるしかないので、医師の指示通りに外用薬を使用し、こまめに保湿することがとても重要です。また喫煙は大きなリスク因子なので、喫煙している人は発症を機に禁煙してみると良いでしょう。
ほかにも食生活の偏りが、炎症を悪化させる要因になる可能性もあります。過敏性腸症候群や便秘を併発しないためにも和食を中心とした、栄養バランスの良い食事を意識しましょう。症状に変化があったり、気になることがあったりした場合はすぐ医師へ相談してください。
適切な治療を受けることで、症状が緩和し日常生活を送りやすくなります。
編集部まとめ

掌蹠膿疱症は比較的稀な病気なので発症した人は困惑するかもしれませんが、適切な治療を行えば症状は緩和されます。
自然に完治することが多いですが完治までの期間は長いので、症状と上手く付き合いながら日常生活を送らなければなりません。
発症する人の多くは喫煙者であることから、禁煙するのも症状改善の1つの手段です。禁煙が1人だと難しいようであれば禁煙外来を利用しましょう。
掌蹠膿疱症に関する正しい知識を身につけて、安心して日常生活を過ごせるようにしてください。
参考文献
掌蹠膿疱症(日本皮膚科学会)

