誰のためのお肉だったのか
それからというもの、Nさんは実家からなにか食べ物が贈られてきたら、旦那さんが勝手に義実家に持って行かないよう、冷蔵庫に「持ち出し禁止」と紙を貼ることにしました。
「やっぱり食い意地張ってるな。こんなことしなくてもいいだろ」
見かねた旦那さんにそう言われたNさんは、きっぱりとこう言い返したのでした。
「うちの親が私を気遣って送ってくれたものなの。私が食べ方を決めて何が悪いのよ!」
Nさんは実家の母親がお肉と一緒に送ってきた手紙を見せました。
「産後の体力回復には牛肉を食べると良いそうです。赤ちゃんのためにも元気なママでいてね」
その一文を見て、旦那さんはあのお肉は産後のNさんに力をつけるために贈られたものだったとやっと気づいたのでした。
「ほんとに悪かった……産後の大変さを全然理解していなかった。これからはちゃんと相談する」
旦那さんは深く反省し、それから旦那さんが勝手に、Nさんに贈られた食べ物に触ることはなくなったそうです。
贈り物を無断で持ち出すのは、ちょっとデリカシーに欠ける行為ですよね。Nさん夫婦はこの一件をきっかけに、産後の大変さや、お互いの価値観について話し合って、理解を深めることができたそうです。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2025年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:齋藤緑子
大学卒業後に同人作家や接客業、医療事務などさまざまな職業を経験。多くの人と出会う中で、なぜか面白い話が集まってくるため、それを活かすべくライターに転向。現代社会を生きる女性たちの悩みに寄り添う記事を執筆。

