国際芸術祭『東京ビエンナーレ2025』が開催中!東京のまちを散歩しながらアートを楽しもう

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東京都心部の北東に位置する千代田区、中央区、文京区、台東区にある複数の施設や公共空間にてアート展示やイベントが数多く展開しています。「いっしょに散歩しませんか?」をテーマとする芸術祭の見どころをご紹介します。

歴史的建築と現代アートが響き合う。【東叡山 寛永寺】

東京ビエンナーレ2025_2東叡山 寛永寺

『東京ビエンナーレ2025』の拠点会場は、東叡山 寛永寺とエトワール海渡リビング館の2つ。まず訪ねたいのは上野・御徒町エリアに位置し、2025年に創建400周年を迎える東叡山 寛永寺です。

今年は普段入ることができない貴賓室や葵の間廊下、それに渋沢家霊堂前庭にて、藤原信幸、小瀬村真美、森淳一が場所や歴史を活かした展示を行っています。

東京ビエンナーレ2025_3藤原信幸《ガラスを使って自然を表現する「植物のかたち」2025》 東叡山 寛永寺 貴賓室

このうち日本ガラス工芸学会の監事を務める藤原信幸は、自身の工房がある茨城県取手市の利根川流域に自生する植物の生命力に触発されたガラス作品を展示。植物の断片的なイメージを組み合わせて再構築したというオブジェが、床の間のある畳敷きの貴賓室にて美しく輝いています。

東京ビエンナーレ2025_4東叡山 寛永寺より、葵の間(普段は非公開)

古典絵画を現実の事物を用いながら写真、映像表現として再現することで、絵画の裏に視点を差し込もうとする独特な制作手法を用いる小瀬村真美の作品も見逃せません。作家が舞台とするのは、幕末の将軍・徳川慶喜公が謹慎生活を送ったという葵の間です。

東京ビエンナーレ2025_5小瀬村真美《風景畫 — 葵の間、東叡山寛永寺》 東叡山 寛永寺 葵の間(廊下)

そこには慶喜が描いた油彩画《西洋風景》(1887–97)の複製が掛けられていますが、同時期に描かれた《日本風景》(1870頃)の2つの作品に注目し、新たな写真作品を生み出しました。和洋折衷の慶喜の絵画を元にしつつ、ありそうでないような奇観とも言える画面を見ることができます。

東京ビエンナーレ2025_6森 淳一《星翳》 東叡山 寛永寺 渋沢家霊堂前庭

パワーストーンとされるオニキスという石を用い、渋沢家霊堂前庭にてインスタレーションを披露しているのが、彫刻だけでなく、写真や油彩など多様な表現を手がける森淳一です。明治時代に渋沢家によって築かれ、登録有形文化財でもある建物を背に、歴史あるお庭に石が展開する様子は、この場所だからこそ見られるもの。まるで月のかけらが地上へと舞い降りているような光景に、思わず心を奪われました。

ビジネス街の地下に植物の巨大な木炭画が出現!【行幸地下ギャラリー】

東京ビエンナーレ2025_7大内 風《分散、上昇、規律、統合》 大手町ファーストスクエア

2つ目の拠点会場、エトワール海渡リビング館へ移動する前に立ち寄りたいのが、大手町・丸の内・有楽町エリアと八重洲・京橋エリア。日本の中心とも言える東京駅の近辺でも見逃せない展示が行われています。

東京ビエンナーレ2025_8佐藤直樹《そこで生えている。》 行幸地下ギャラリー

その1つが行幸地下ギャラリーにて展開する、佐藤直樹の《そこで生えている。2018–2025》です。グラフィックデザイナーとして活躍し、2013年から絵画を制作する佐藤は、翌年から「今日見た草木をここに描いてみます」として、約12年にもわたって身近な植物をモチーフとした木炭画を制作してきました。

ここでは2018年以後に描かれた、約202mもの作品を並べて展示。あたかも巨大な絵巻のように展開する植物画はまさに圧巻の一言です。都心の地下に突如、出現した、エキゾチックとも呼べる生命感に満ちた植物たちに飲みこまれてみてください。

東京ビエンナーレ2025_9与那覇 俊《太太太郎 2023》 東京駅八重洲北口 大丸東京店前

一方、東京駅八重洲北口にて多くの人々が行き交う大丸東京店前では、与那覇俊がカラフルな《太太太郎 2023》を床面にて大判で出力しています。まるで人類の暮らす巨大なマンションの断面を描いたような作品は、都会を舞台に開かれる本芸術祭を象徴する一つのモニュメントと言えるかもしれません。

配信元: イロハニアート

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