アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
母・あーちゃんは「私のいる病院は……」「私の入院しているところでは……」と、よく言います。老人ホームに入ったことを認めたくないのか、本当にそう思っているのかは謎ですが、診察やインスリン注射も施設でやってもらっているので、勘違いするのも理解できます。しかし、不思議なのはあーちゃんの中では「大部屋の窓際のベッドに入院している」設定になっていて、それを友人にも伝えていること。本人に発言の意味を確認しても驚くだけで、話になりません。そんなあーちゃんは、お気に入りの甘ったるいミルクコーヒーを飲み続けているからなのか、2回目の検査で糖尿病の数値が悪化してしまいました……。スタッフさんの力も借りて、ミルクコーヒー禁止令を出しましたが、どうなることやら……。
見抜けないものだな…
あーちゃんが暮らす施設では、入居者さんが入浴している間に、部屋に置いてある洗濯カゴから洗濯物が回収されるシステムです。ただ、あーちゃんは着た洋服をすぐにハンガーにかけてしまうため、ワフウフさん姉妹はちゃんと洗濯に出しているのか気になっていました。姉・なーにゃんが確認しても、服を舐めて「大丈夫!」と言うだけで、信用できません。結局、なーにゃんがこっそり家に持ち帰って洗濯をしてくれていて、なんとかあーちゃんの洋服は清潔さを保っています。

意地悪で要注意人物になっているアライちゃん。施設でばったり顔を合わせてしまいました。

普段はこの作り笑顔で対応するのですが、今回はそんな余裕がなかったため、仕方なくあいさつすると……。

……え?

まさかの回答。不思議に思いながらも、あーちゃんの下の娘であることを伝えます。

すると、アライちゃんはなぜかお世辞まで言ってくれました。

初対面のつもり……?

そこで気付いてしまったのです。アライちゃんも、あーちゃんと同じ認知症だということを……。

施設では、あーちゃんがミルクコーヒーを買っていないか、くまなくチェックする日々が続いています。

小銭が減っているときは、ミルクコーヒーを買ったからなのか、小銭をどこかに隠しているからなのかがわからないため、直接あーちゃんに確認します。

すると、隠してもないし買ってもいないと言い張るあーちゃん。

姉が再度確認しようとしても……。

言い合いになってしまいました……。

結局、あーちゃんは財布のお金がなくなったと言います。

最終的には「お金を盗られた」になるのです。

隠していても、ミルクコーヒーを買っていても、どっちにしろ、私たちにとっては喜べる話ではありません……。
あーちゃんになぜか意地悪ばかり言う、要注意人物の「アライちゃん」。あーちゃんが夕食に行くのを見届けて施設から帰ろうとしたとき、タイミング悪く顔を合わせてしまいました。仕方なくあいさつをすると、アライちゃんは「どちら様でしたっけ?」と一言。不思議に思いながらも、あーちゃんの下の娘だと言い、簡単な会話をしましたが、どうやらアライちゃんは本気で初対面だと思っているようです。
この発言で、アライちゃんも認知症だったのか……と、初めて気付きました。認知症も、人によってタイプや進行具合が異なることはわかっているつもりでしたが、数分話すくらいでは見抜けないことも多いのだと、改めて感じました。ちなみに、初対面バージョンのアライちゃんは、とっても感じがよかったです。
そんな中、施設ではあーちゃんがミルクコーヒーを隠れて買っていないかをチェックする日々が続いています。ゴミ箱、買ったときに置く定位置、お財布の中の小銭を中心にチェックしますが、あーちゃんは数百円の小銭を隠してしまうことがあるので、ミルクコーヒーを買って使ったのか、隠しているのかがわかりません……。小銭が減っていれば、隠したかミルクコーヒーを買ったかの二択です。どっちにしてもうれしくないので、小銭がなくなっているとがっかりです……。
--------------
アライちゃんと何回か会話をしたことがあるワフウフさん姉妹が気付かなかったということは、あーちゃんと同じように相手の話に合わせるのがじょうずだったのかもしれません。認知症は見た目からでは判別できないので、アライちゃんが意地悪な要注意人物に見えていたように、あーちゃんも周りから誤解されないか、家族としては不安になってしまいますよね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。
2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

