昨今、芸能界でも話題が尽きない浮気・不倫問題。浮気や不倫を繰り返すのは、単なる「遊び」や「性格」の問題なのでしょうか? じつは、その背景に「セックス依存症」という心の病気が隠れている可能性もあるそうです。なぜ、浮気や不倫を繰り返してしまうのか。今回は、浮気・不倫をしてしまう人は男女それぞれでどのような心理が働くのか、医師の秋谷先生にわかりやすく解説していただきました。

監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
1999年、金沢医科大学卒業。金沢医科大学研修医を経て2001年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科、2004年6月獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児科、2016年児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科を経て、2020年5月から現職(東京西徳洲会病院小児医療センター)。専門は小児神経学、児童精神科学。
編集部
なぜ、浮気・不倫をしてしまうのでしょうか?
秋谷先生
浮気・不倫の理由は、単純に愛情が冷めた場合だけでなく、じつは愛情が深い場合にも起こり得ます(※)。例えば、子どもが生まれて夫婦が親としての役割に集中すると、セックスレスになりがちです。愛情は深まっているのに性的な欲求が満たされない葛藤から、浮気・不倫に走るケースがあります。また、パートナーの愛情を確認するために、異性に魅力的だと感じることで安心感を得ようとする人もいます。さらに、承認欲求を満たすため、あるいは日常の刺激を求めて浮気・不倫をしてしまう人もいるでしょう。このように、浮気・不倫の背景には、様々な欲求や葛藤が隠されているのです。※Adultery understanding as a psychological problem by the
representatives of different ethnic groups
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1877042815051058/pdf?md5=2b8cb5531e1994bc0336c578e5631af9&pid=1-s2.0-S1877042815051058-main.pdf
編集部
「浮気・不倫は遺伝子も関係している」という話を聞いたことがあります。本当ですか?
秋谷先生
たしかに、浮気・不倫には、遺伝子が関係しているという説があります(※)。例えば「AVPR1A」という遺伝子は、愛情や絆に関わるホルモン「バソプレシン」の働きに影響を与えます。この遺伝子に特定の変異を持つ男性は、結婚生活の満足度が低く、離婚率が高いという研究結果があります。また、パートナー以外の人と性交渉を持った割合も2倍以上だったという報告もあります。さらに「アリル334」という遺伝子を持つ人は、浮気率が2倍以上になるという研究結果もあります。これらの結果から、遺伝子が浮気・不倫に影響する可能性は否定できません。しかし、遺伝子が全ての行動を決めるわけではありません。環境や本人の意志、パートナーとの関係など、様々な要因が影響します。遺伝子はあくまで傾向を示すものであり、運命を決定づけるものではないので注意してください。※Why women cheat: testing evolutionary hypotheses for female infidelity in a multinational sample
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1090513824000710
編集部
男性側が浮気・不倫するときに、特有の心理状態や要因はありますか?
秋谷先生
2023年の論文によると、男性が浮気や不倫をする理由は以下の5つに分けられます(※)。これらの要因が複合的に作用すると考えられています。進化心理学的な要因:進化心理学的に、男性は子孫を残すために複数の女性を求める傾向があり「約50%が生涯に一度は浮気を経験している」という調査結果があります。
社会文化的要因:男性の浮気は女性より容認されやすく、約30%が男性の浮気を「仕方がない」と考えている現状が影響していると考えられています。
心理的要因:男性は約70%が「刺激が欲しかった」と回答。性的な刺激への反応が強く、新しいものを求める傾向や、仕事からの逃避なども理由に挙げられます。
パートナーの問題:パートナーとのコミュニケーション不足や性的不一致など、約60%がパートナーへの不満を理由に挙げています。
個人の性格:自制心の欠如や責任感の不足、自己中心的な性格も浮気・不倫につながりやすいとされています。
※Relationship status and gender-related differences in response to infidelity
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10244511/
編集部
女性側についてはいかがでしょうか?
秋谷先生
2023年の同論文によると、女性が浮気や不倫をする理由も以下の5つに分けられます。女性側も色々な要因が複雑に絡み合って、浮気・不倫を起こしてしまうと考えられています。進化心理学的な要因:「女性は限られた数の子どもしか産めないため、より質の高い遺伝子を持つ男性と子どもを作るように進化してきた」という考え方があります。そのため、現在の夫よりも優れた遺伝子を持つ男性が現れた場合、浮気・不倫をしてしまう可能性があります。
社会文化的要因:近年、女性の社会進出が進み、経済的に自立する女性が増えています。そのため、男性に頼らずとも生活できるようになり、浮気・不倫に対する心理的なハードルが下がっている可能性があるとされています。
心理的要因:男性と比べて女性は共感力が高く、感情的なつながりを求める傾向があります。夫と精神的なつながりを感じられない場合、それを求めて浮気・不倫をしてしまうことがあります。
パートナーの問題:夫とのコミュニケーション不足や愛情不足を感じている場合、それを埋めるために浮気・不倫をしてしまうことがあります。また、セックスレスや性的欲求の不一致なども、女性が浮気・不倫に走る要因となり得ます。
個人の性格:自己肯定感が低い女性は、浮気・不倫によって自分の魅力を確認し、自信をつけようとする傾向があるとされています。また、依存的な性格の女性は、相手に依存することで安心感を得ようとし、それが浮気・不倫につながることも考えられます。
編集部
これらは全ての人に当てはまるのでしょうか?
秋谷先生
いいえ。これらの要因はあくまで一般的な傾向であり、全ての人に当てはまるわけではなく、浮気や不倫の原因は人それぞれです。似たような状況や性格であっても浮気や不倫をしない人もいれば、逆にこれらの要因に当てはまらない理由で、浮気や不倫をしてしまう人もいるでしょう。人間の行動は「本来の人間としての性質」「社会的な要因」「心理学的な要因」「個人の性格」など、様々な要因が複雑に絡み合って決められています。大切なのは、それぞれが浮気や不倫をしてしまったとき、どのような経緯で至ったかをきちんと理解することです。
※この記事はMedical DOCにて<浮気・不倫がやめられない…「セックス依存症」かも? 8つの診断基準を医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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