女性首相「笑うか・笑わないか」が論点になる “異常” 有名ジャーナリストの見解に批判相次ぐ… 「政策で判断しようよ」

女性首相「笑うか・笑わないか」が論点になる “異常” 有名ジャーナリストの見解に批判相次ぐ… 「政策で判断しようよ」

「見ていて苦しかった」 会見での“笑顔”に疑問呈す

 高市早苗新首相の就任会見で最も印象に残ったのは“笑み”だった――。ジャーナリストの江川紹子氏がX(旧ツイッター)にこうした感想を投稿し、賛否両論を呼びしました。女性リーダーは“笑顔を武器に”しなければならないのか、というテーマが浮上し、国内外の例を交えた議論が広がっています。

 高市政権の発足を受けて江川氏は2025年10月22日未明、同首相の会見について触れ、「世界の女性リーダーでこれほどほほ笑む人がいただろうか」と指摘しました。笑顔は親しみを感じさせるためのものであって、日本の政界では女性のハンディを武器に変える術(すべ)かもしれないと分析。「見ていてちょっと苦しかった」との印象を記しました。同日中には追記として、高市氏個人への不快感を覚えたのではなく、そうした立ち居振る舞いに至る状況に疑問を感じているのだと補足しています。

 投稿は7000件以上の“いいね”を集めると同時に、懐疑的な反応も多く寄せられました。「笑顔が多かったことで批判されるなんて」「政策ではなく振る舞いを取り上げるとは」「政策や目標で判断しようよ」との声が目立ち、性別を理由に女性が出世できない障壁を指す言葉を用いて「『ガラスの天井』を作っているのはこういう意見だ」と批判するユーザーもいました。男性リーダーでも笑顔を見せる人は多いのに、女性の場合だけ俎上(そじょう)に上げるのはおかしい、とする反応も目立ちます。

 これに対し、江川氏に共感的な意見も多くはないものの散見されました。「女性は愛嬌と言われて育った世代の苦しさを共有する」「笑顔のタイミングが不自然」など、女性の社会的プレッシャーを全くないもののように扱うことへの違和感を呈するものです。

 議論の焦点は、「女性は笑顔を見せないと立場を築けないのか?」です。日本では、特にメディアに登場する女性は笑顔でいることが多い印象がありますが、他国では笑顔は多くないものの成功を納めている例が多くあります。

 例えば、ドイツ元首相のアンゲラ・メルケル氏は頻繁には笑顔を見せず、慎重なスタイルで4期を務め上げました。入念な準備や勤勉さで信頼を築き、“女性だから”といった性別による枠組みを超えた評価を受けています。また イギリスの元首相テリーザ・メイ氏は、容姿やファッションを過度に注目された一人。男性であれば焦点の当たりにくい外見や表情が、政策以上に話題に挙げられることをもって“ガラスの崖”の象徴だと指摘する向きもありました。

 日本人にとっても記憶に新しい元米国務長官のヒラリー・クリントン氏は、米大統領選などで笑顔を戦略的に使いましたが、これに関して国内外のメディアで多数取り上げられ、メディアのバイアスに直面したとされています。 こうした例から、女性リーダーが男性リーダーたちとは異なる視線を世間から向けられている事実は少なからずあるようにも思われます。

 ただ、今回の江川氏の投稿に対しては、ジェンダーバイアスを疑問視する江川氏自身も高市首相という女性リーダーの笑顔の多寡にとらわれバイアスの補強につながっているのではといった趣旨の指摘も。女性リーダーが笑うか笑わないかがいちいち話題に上らなくなったときこそ、真に「ガラスの天井」「ガラスの壁」が打破されたと言えるのではとの考え方も少なくないようです。

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 高市氏が10月4日の自民党総裁選で選出されたのに併せてLASISA編集部では、画像データベース「時事通信フォト」に登録されている高市氏の画像2456件(同月6日時点)を全てチェック。衆院初当選の1993年以来、カメラを向けられた際の高市氏が一貫して口角を上げ、笑顔を見せてきたとの印象を受けました。

 それが自然なしぐさなのか、報道キャスターなどメディアでの経歴を経て身に付いたものなのか拙速な判断は控えるものの、今後の高市首相の評価軸が政策実現や実行力に掛かっていることは間違いありません。

(LASISA編集部)

配信元: LASISA

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