早期発見に必要な検査は? 治療法は?
編集部
膵嚢胞を見つけるにはどんな検査を受ければよいですか?
花田先生
膵嚢胞を調べる方法はいくつかあります。まず、一般的な健康診断などでおこなわれる腹部超音波検査でも膵臓を確認できます。ただし、膵臓は胃の裏側にあるため、体格や胃のガスの影響で見えづらいことがあり、特に肥満のある人では観察が難しいことがあります。そのため、より詳しく調べるにはMRIやCT、超音波内視鏡検査(EUS)が有効です。これらの検査では嚢胞の大きさや内部の性状を詳しく評価でき、膵嚢胞の性質やがん化のリスクを判断するのにも役立ちます。
編集部
発見された場合、すぐに手術が必要になるのですか?
花田先生
いいえ、膵嚢胞が見つかったからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。発見された時点でがんが強く疑われる場合には手術を検討しますが、そうしたケースは多くはありません。多くの場合は、定期的な画像検査で経過を観察します。ただし、嚢胞が急激に大きくなる場合や、内部にしこりのような部分(腫瘤)が見つかる場合には、がん化が疑われるため手術を検討することがあります。
編集部
経過観察中はどのくらいの頻度で検査をしますか?
花田先生
膵嚢胞の大きさや性質によって検査の間隔は異なりますが、一般的には6カ月から1年ごとに腹部エコーやMRI検査をおこない、嚢胞に変化がないかどうかを確認します。もしMRIで大きさの変化や内部に異常が見られた場合には、超音波内視鏡などの精密検査を追加し、より詳しく調べることがあります。一方で、長期間にわたって嚢胞の状態が安定している場合には、医師の判断で検査の間隔を延ばしたり、検査を終了したりすることもあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
花田先生
膵嚢胞は多くの場合、すぐに命にかかわるものではなく、定期的に経過をみることで安心して過ごせます。ただし、一部には将来的にがんに進展する可能性をもつタイプもあるため、医師の指示に従って検査を続けることが大切です。「がんになるのでは」と過度に不安を抱く必要はありません。大切なのは、自分の嚢胞のタイプを正しく知り、必要に応じて検査や治療を受けていくことです。膵臓がんは進行すると治療が難しい病気ですが、早期発見できれば治療成績は大きく向上します。したがって、定期検査が必要とされた場合には放置せず、きちんと受けることが重要です。
編集部まとめ
がんのなかでも膵臓がんは治療が難しいもののひとつ。そのため、膵嚢胞ができると不安になる人も多いと思います。しかしすべてががん化するわけではないので、まずは医師の指示に従って適切に検査や治療をおこなうこと。家族歴がある場合などはあらかじめ膵嚢胞や膵臓がんについての知識を仕入れておくと、いざというとき安心かもしれませんね。

