血糖値の基準値とは?メディカルドック監修医が血糖値が高くなる・低くなる原因などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血糖値の基準値」はご存知ですか?正常範囲はどれくらいなのか医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
血糖値とは?
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことを指します。膵臓で作られるインスリンというホルモンが血糖値を一定に保っています。
健康診断での血糖値の項目は、空腹時の血糖値(FPG)と、最近1〜2ヶ月ほどの血糖値を評価するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の2つが一般的です。
今回の記事では、血糖値の正常値や、高くなるあるいは低くなる理由について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
血糖値が高くなる原因
血糖値の調整のためには、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが重要です。しかし、インスリンが十分に効果を発揮できない場合や、インスリンの分泌が低下してしまった場合に血糖値が高いままになってしまいます。なお、インスリンが効きづらくなることをインスリン抵抗性といいます。ここでは、こうしたインスリンに関係する事項や、その他の血糖値が高くなる原因について解説しましょう。
肥満
肥満は、インスリンが効きづらくなる原因となります。肥満になる要因としては、運動不足並びに高脂質食に代表される欧米型生活習慣が挙げられます。
運動不足
運動不足も肥満の原因となり、インスリンが効きづらい状況を引き起こしてしまいます。
骨格筋はブドウ糖取り込みにとって重要な臓器であることが知られています。そのため、運動不足によって筋肉が減少してしまうことは、血糖値が上がってしまう原因になります。
ストレス
ストレスがかかると、糖尿病のコントロールが不良になるという研究結果があります。ストレスがインスリン抵抗性に何らかの影響を与えている可能性が示唆されています。
膵臓のインスリン分泌機能の低下
慢性膵炎など、膵臓からインスリンを分泌する機能が失われている状態では血糖値が上がってしまいます。糖尿病のタイプの一つである1型糖尿病では、自己免疫学的なメカニズムで膵臓のインスリン分泌細胞が破壊されてしまいます。その結果、インスリンが不足してしまうため、血糖値のコントロールが悪くなります。
血糖値を上げるホルモンの過剰な分泌
成長ホルモンなど、血糖値を上げる方に働くホルモンがあります。そうしたホルモンが過剰に分泌されるような病気の場合、血糖値が高くなってしまうことがあります。例えば、下垂体性成長ホルモン分泌亢進症などの病気があります。下垂体性成長ホルモン分泌亢進症は、末端巨大症、下垂体性巨人症とも呼ばれており、指定難病となっています。

