「恥ずかしがらずフラットに話すことが子どもの安心に」今日からできる【やさしい性教育】

「恥ずかしがらずフラットに話すことが子どもの安心に」今日からできる【やさしい性教育】

恥ずかしがらずに、フラットに話す。それが一番の安心になる

とはいえ、いざ子どもから唐突に質問を投げかけられると、心の準備が追いつかないもの。「そんなときは、“今はわからないけど、一緒に調べてみようか”でいいんです。親が逃げずに向き合ってくれたという経験そのものが、子どもに安心感を与えます」


 


そう話す先生の口調は穏やかで、どこかユーモラスだ。たとえば「おちんちん」という単語を、子どもが大声で言うとき。

「子どもにとってはただのからだの名前なんです。大人が恥ずかしがると、それが“恥ずかしいもの”に変わってしまう。だから、フラットな言葉を使うことが大事なんですよ」。たしかに、親の照れはすぐに伝わる。子どもは、言葉の意味よりも、その時の空気や表情を敏感に読み取る生きものだ。「子どもは言葉より、“その時の顔”を覚えています。だからこそ、驚かず、否定しない。『いい質問だね』と受け止めるだけで、空気が変わるんです」


 


 先生が繰り返すのは、「まずは簡単な“からだの名前”から」「否定せず、受け止める態度を」「“誰もが持つからだ”という前提を共有すること」という三つのステップだ。「例えば『これは○○君や○○ちゃんのからだの大切な部分だね』と名前を普通に言ってあげてください。そこから安心感が生まれます。否定されずに受け止められる経験が、子どもの自己肯定を育てるのです」


 


そして、『これは誰でも持っている大切なからだの一部だよ』という前提を、特別ではなく自然に伝えてあげてほしい。」いずれも、親としてすぐに取り組める“ゆるっと”の入口だ。

大事なのは“話すタイミング”より、“話せる空気”をつくること

 先ほど伝えたように、親が守るべきは“話すタイミング”ではなく“話す雰囲気”であると先生は説く。子どもが遊びの最中、ふと「ねえ、どうして?」と問いかけたとき、その波を逃さず、スマホを手放して耳を傾けること――このやさしい流れが、親子の間に信頼を築くのだ。


 


アニメやSNS、YouTubeの世界にも、性に関わる描写はあふれている。それを「ダメ」と遮断するのは簡単だが、子どもの目はもう大人の想像を超えて遠くを見ている。だからこそ、親が“どう反応するか”が、子どもにとっての指針になる。「ニュースやアニメの中で気になる描写が出たときは、それをきっかけに話してみてください。“この場面、どう思った?”と聞くだけでいいんです。自然に会話が生まれますから」


 


性教育とは知識の伝達ではなく、態度の共有だ。親が他者を尊重する姿勢、パートナーを大切にする態度――それこそが、子どもにとって最も雄弁な「授業」になる。「親が見せる“尊重の態度”そのものが、性教育だと思います。大事なのは、子どもが自ら手を挙げてくるのを待つのではなく、親が“そういう問いかけがあっても大丈夫ですよ”という雰囲気を日常に埋め込むことです」と、先生は語る。

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