身内へ購入を強引に進める
「かなこちゃん、見て!これも買ったの!これでまたポイントが貯まって、ランクアップが見えてきたのよ」
彼女は誇らしげにそう言うけれど、私にはそれが「自己投資」というより、何かを埋めるための「散財」に見えてしまって。義姉の部屋に積み上がっていく在庫の山を見るたびに、私の心には小さな違和感が生まれていったんです。これは明らかに、彼女の生活の中心が変わりつつあるサインでした。
義母も当初は「まみも頑張ってるのね」と生暖かく見守っていたのですが、義姉が帰ってくるたびにネットワークビジネスの話ばかりになるので、だんだん疲弊しているのが分かりました。
「お母さん、これ、本当に体にいいから。お父さんの健康のためにも、このプロテイン飲みなきゃダメよ」
「えー、でも高いでしょう?」
「いいの!私が会員価格で買ってあげるから!今月はこれと、あとこの浄水器がセットで買うとすごくお得なの!」
義姉は義母の返事を聞く前に、既にスマートフォンで注文を済ませようとする勢い。義母は穏やかな性格で、まみさんの勢いに押されて断れないでいるんです。その様子を見ていると、私の胸のざわつきは無視できないレベルになっていきました。
これは、ただの趣味の域を超えている。そう、直感的に感じたんです。私は自分の家族を守らなきゃいけないって。
あとがき:境界線の始まり
この物語は、ごく身近な人間関係の中に潜む「依存」と「執着」から始まります。義姉・まみさんのネットワークビジネスへの熱狂は、単なる趣味や仕事を超え、次第に義実家の空気を支配していきます。主人公かなこの抱える違和感は、家族の安全を脅かすものとして、無視できないレベルへと成長していきます。
かなこの内向的な視点を通して、優しさが時に危険を招く可能性と、家族の平和を守るためには、はっきりと境界線を引く覚悟が必要であることを示唆します。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

